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ご覧いただきありがとうございます。

全国的に台風の影響で悪天候が続いていますね。

外出するにしても大変だし、そもそも外出する気にもならない...

そんな方も多いかと思います。

その上今年の台風はかなり強い...場所によっては避難警報が出たり、実際に被害に遭われている方も多くいらっしゃるようで非常に心苦しいです。

そんなこんなで、皆様々な過ごし方をされてると思いますが、スマホ一つあれば聴けるのが音楽。

そして音楽があれば、この鬱屈した心模様も少し癒されるかもしれません。

ということで今回は筆者お気に入りの雨にまつわるR&B系の楽曲を紹介していきます。題して「雨の日プレイリスト」といった感じですね。(少しずつ書いているので、更新する頃には雨終わってるかも 笑)


ほんとは夏の楽曲を紹介する記事でも書こうかと思ったんですが...

まあ...来年でいいでしょう...笑


というかS.O.S.とCHEMISTRYの記事も途中だった...

気長にお待ちを...笑


それでは筆者お気に入りの「雨の日プレイリスト」になります。

皆さんのお気に入りの楽曲があれば幸いです。


※曲順はリリース順です




露崎春女 「誰でもなくて ~Misty Rain Mix~ 」(1998)

「露崎春女(つゆざきはるみ)」は1995年のデビュー時から、かなり本格的なR&B作品を打ち出していた日本語R&Bのパイオニア的アーティスト。

ゴスペルやミュージカルに裏打ちされた圧巻の歌唱力で、優れた楽曲を数多くリリースしています。

本曲「誰でもなくて ~Misty Rain Mix~ 」は日本人でありながらR&B系の作曲家として当時海外でも高い評価を得ていたT.Kura(GIANT SWING)が手がけた傑作R&Bナンバー。

4thアルバム「Believe Yourself」にも別バージョンが収録されましたが、この「~Misty Rain Mix~」における雨の滴りを感じる涼しげなアレンジがやはり最高。

それにしても歌が上手すぎる...





bird 「雨の優しさを」(1999)

birdは1999年に「SOULS」でデビューした女性シンガー。

ジャンルレスではあるものの、生音を生かしたジャズやソウルベースの作風で、多くの名曲を発表してきました。

とりわけ大沢伸一をプロデューサーに迎えた初期作品の数々は、そのクオリティの高さから今尚絶大な知名度を誇っています。

本曲「雨の優しさを」は70万枚を超えるヒットを記録した1stアルバム「bird」収録のスローナンバー。

大沢伸一のみならず、Monday満ちるが作曲に加わっているのもポイント。

雨がしっとり降る日に聴きたい一曲。落ち着きます。





NUU 「ガラスのベッド」(1999)

NUU(ヌウ)は1998年にシングル「青いドレス」でデビューした女性シンガー。デビュー当初は女性R&Bブーム到来の時期ということもあり、R&Bをベースにした楽曲をリリースしていましたが、その後は独自路線を開拓。

童謡や唱歌を彷彿とさせる作品群はどこか懐かしく、非常に心温まる仕上がり。

「聖母」とも形容できる唯一無二の歌声にいつも癒されます。とにかく声が良すぎる。

歌に愛されてるな〜って思います。

本曲「ガラスのベッド」は活動初期、R&Bブーム真っ只中の時期にリリースされた一曲。

アルバム未収録ながらも、たおやかなヴォーカルとエッジの効いたビートのギャップが聴き応え抜群の一曲。

隠れた名曲と言ってもいいかもしれません。





平井堅 「affair」(2000)

平井堅がR&Bに傾倒していた頃の代表曲と言えば、今尚根強い人気を誇る「楽園」が先ず思い浮かぶことと思います。本曲「affair」はその「楽園」のカップリング曲(B面)として収録された曲で、当時どちらをA面にするかで相当悩んだそうです。

ライブでもあまり披露されない曲な気がしますが、この曲で描かれる包容力溢れる男性像は平井堅の人柄と甘いヴォーカルあってこそ。

包み込むようなコーラスが染みます。

舞台は真夜中の雨、傷心の女性を抱きしめて言う「君のせいじゃない」

今尚多くの女性ファンを虜にし続ける色男の懐は、無限大に広い。





Crystal Kay 「Rainy Blue Day」(2000)

Crystal Kayの記念すべき1stアルバム「C.L.L(Crystal Lover Light)」収録。

古き良きソウルを感じさせる一曲で、当時14歳とは思えない成熟したヴォーカルに驚かされます。全編英語詩ということもあり、余計に本場のソウルと遜色ない仕上がりになっていますよね。

おそらく元ネタはスモーキー・ロビンソン・&ミラクルズの代表曲「Ooo Baby Baby」

本曲が収録された1stアルバム「C.L.L」は、R&BやPOPSを主軸としたその後のCrystal Kayのアルバムとはかなり毛色が異なり、アコースティックテイストのしっとりしたバラードや古典的なブラックミュージックをベースにしたサウンドが特徴なので、気になる方は是非視聴をおすすめします。





F.O.H(現 Full Of Harmony) 「Typhoon」(2000)

ARATA、HIRO、YUTAKAの3名からなる日本を代表するR&BコーラスグループF.O.H(現Full Of Harmony)のメジャー3枚目のシングル。

作詞はかの有名なZEEBRA(ジブラ)、作曲にはF.O.H作品には欠かせない今井了介氏が参加しています。

タイトルが「Typhoon(タイフーン)」なだけあって、しっとりとした雨というよりは、雷雨を伴った激しい台風をイメージした曲。

嵐のように吹き荒れる嫉妬心や愛情をF.O.Hの3人が熱く歌い上げます。

曲調や歌唱はもちろん、PVで着用している衣装も90'R&B度直球な感じが熱いです。

DJ KAORIによるリミックスもオススメです。





Vlidge 「Dancing In The Rain」(2000)

Vlidge(ヴリッジ)はKyuとKiichiからなるシンガーソングライターデュオ。

ハイレベルな歌唱力とダンスはもちろん、セルフプロデュースということもあり基本的に詩曲も自分達で作るという多才さが魅力。

はじめて彼らの存在を知った時の衝撃は今でも忘れられません。彼らのルーツとも言えるHIP HOPやR&Bを、程よくPOPSに昇華した作品群は当時間違いなく時代の最先端を走っていたと思います。

ヒットを記録した初期作品「Everbody Needs Love」「You See...」を含む1stアルバム収録の「Dancing In The Rain」は低音が効いたトラックの上を二人のテクニカルなヴォーカルが躍動するかなりクールな一曲。

カッコイイです。





久保田利伸 「Candy Rain」(2001)

日本におけるブラックミュージックのパイオニアとして名高い久保田利伸。

実に40年近い間キャリアを積み重ねてきただけあって、雨にまつわる曲のレパートリーもハンパじゃないです。

「失意のダウンタウン」「雨音」「虹のグランドスラム」「Candy Rain」「LOVE RAIN ~恋の雨~」などざっと挙げただけでも名曲がずらり。

特にお気に入りは2001年リリースの「Candy Rain」

これぞ久保田 !と言わんばかりの圧倒的グルーヴ。完璧です。

後にトリビュートアルバムにて女性R&B系シンガーSoweluが本曲をカヴァーしています。





川口大輔 「Into The Storm」(2004)

中島美嘉やCHEMISTRYなど、実に数多くのアーティストのヒット曲を手がけた稀代の作曲家川口大輔。

松尾氏プロデュースの元、2004年にソロ作品としてリリースされたオリジナルアルバム「Sunshine After Monsoon」はエバーグリーンな魅力を放つ名作。

アルバムに収録された「Into The Storm」は、まさしく嵐の真っ只中にいるような登場人物の心情を表した一曲で、終盤の畳み掛けるピアノ伴奏は聴き物です。

彼の手がけた楽曲は多くのアーティストの代表曲となり、これまで様々な人々に、様々な場面で聴かれてきたと思いますが、彼の魅力が最大限に詰まったソロ作品の数々も決して忘れてはいけません。





AI 「After The Rain」(2004)

代表曲「Story」をリリースする以前から、R&B系シンガーとして高い人気を誇っていたAI。

デビューから20年以上経つことを思えば、この「After The Rain」もかなりキャリア初期の楽曲ということになるのか...なんてしみじみ思ってしまいます。

本曲は先述したT.Kura、MICHICO夫妻からなる「GIANT SWING」プロデュースのハイクオリティなR&Bナンバー。

雨上がりをテーマにした優しく、前向きな歌詞が特徴的。

本曲が収録された3rdアルバム「2004 A.I」は国産R&Bの名盤としても名高い一作なので、未聴の方は是非 !





HI-D 「雨・風鈴」(2007)

R&Bシンガー「HI-D(ハイ・ディー)」の4thオリジナルアルバム「24 -Twenty Four-」収録。

安室奈美恵をはじめ、数多くのR&B系シンガーに楽曲を提供していた「Nao'ymt(ナオ・ワイエムティー)」プロデュースによる一曲。

もはやNao氏の特権と言っていい、和のテイストを基調にした美しいR&B。雫が弾けるような音づかいが雨や風鈴の音色を想起させます。

歌詞は日本の伝統的な侘び・寂びを意識した言葉が多く使われながらも、R&Bらしいエロスが存分に盛り込まれた内容。しかもクレジットを見ると作詞はHI-D本人!素晴らしいセンスですね。

Nao氏の作り出す和の世界観にピッタリです。





Sweep 「Walkin' in the rain」(2007)

Sweep(スウィープ)は横浜生まれのR&B系シンガー。高い歌唱力に加え、ハイレベルなダンスやラップも披露する実力派。

本曲「Walkin' in the rain」はそんな彼を代表する一曲で、前向きな歌詞と軽快な曲調が心地いいダンスナンバー。

傘を持ったバックダンサーとの息の合ったパフォーマンスが拝見できるPVも見応えがありますね。

本曲は別バージョンも充実していて、先述のNao'ymtが手がけた90'R&B風の仕上がりがカッコイイ「Walkin' in the rain - YMT Remix」や2008発表のミニアルバム「Connect」収録のアコースティックバージョンとも言える「Walkin' in the rain(Album Ver.) Feat.Saigenji」もおすすめ。





CHEMISTRY×古内東子 「a Place for us」(2009)

「a Place for us」はCHEMISTRYが様々なアーティストとコラボする企画「joint」の一環として、古内東子をゲストに迎えリリースされたR&Bナンバー。

雨をテーマにした曲かは定かではありませんが、御三方の歌唱からサウンドに至るまで、とにかくウエットな質感が特徴で、CHEMISTRYの数ある名曲の中でも非常に艶っぽい仕上がりに大人の色気を感じます。

PVでも、雨に打たれながら熱唱する川畑や、バスルームでセクシーに歌う堂珍の姿が描かれます。

古内東子が元来持ち合わせている湿り気や艶っぽさが、CHEMISTRYの新たな魅力を引き出したようにも感じます。

特にこの曲に関しては、2番のAメロとサビにおける堂珍の歌唱が個人的にお気に入り。






Skoop On Somebody 「恋雨 feat.WHEE」(2010)

昨年末、ドラムのKO-HEYの復帰により遂にオリジナルメンバーでの再スタートを発表したS.O.S.(Skoop On Somebody)

S.O.S.と言えば雨 !と言わんばかりに、活動初期から雨にまつわる曲を多数発表している彼ら。古くは「碧い雨」や高い知名度を誇る「ama-oto」など。

本曲「恋雨 feat.WHEE」はTAKEとKO-ICHIROの二人体制の時期に、韓国人歌手「WHEE」をゲストに迎え作成された一曲。雨にまつわる曲を集めたEP「アメウタ ep.」に収録されました。

「潮騒」を彷彿とさせる大人の恋愛をテーマにした情熱的なナンバー。

TAKEとWHEEの熱いヴォーカルが堪らないです。こういう曲ほんと似合いますよね。






三代目J Soul Brothers 「リフレイン」(2011)

テン年代半ば「R.Y.U.S.E.I.」をはじめ数多くのEDM系楽曲で大ヒットを記録し、国民的グループとなった三代目。

そんな彼らもキャリア初期は歌謡度の高いR&B系ナンバーを多くリリースしていました。「秋の雨」をテーマにした本曲「リフレイン」もその一つ。

作詞はあの秋元康氏、作曲は浜崎あゆみ、EXILEなどで多くのヒット曲を手がけた中野雄太氏が担当するなど、実に安定感のある布陣。

登場人物の切ない心境を表現する三代目メンバーの歌唱・パフォーマンスはやはり特別。

ちなみに本曲が収録された2ndアルバム「TRIBAL SOUL」は「I Can Do It」「DEEP INSIDE」「SOUTH SIDE」「旅立つ前に」など名曲がずらり。

三代目のアルバムでも屈指の名作だと今でも思います。





MALIYA 「Dancin' in the rain」「2016」

MALIYAはR&Bをベースにしたシンガーソングライター。2016年に1stEP「ADDICTED」をリリース。

その「ADDICTED」に収録された曲の中でも、特にオススメなのがこの「Dancin' in the rain」

サウンドを手がけたのは2000年頃にヴォーカルMahyaを含む3人組ユニット「Soul Lovers」のメンバーとして活躍した「Shingo.S」

緩やかに弧を描くようなグルーヴが非常に心地良いネオソウルテイストの一曲で、繊細ながらも奥行きを感じるMALIYAの歌声も美しいです。

同じくShingo.Sが手がけたSIRUPの2018年リリース「LOOP」が好きであれば、この曲もきっとハマるはず。







いかがでしたか?

皆様のお気に入りの楽曲はありましたか?

雨にもいろいろな表情があって面白いですよね。


最後までご覧いただきありがとうございます。


ではまた次回 !




ご覧いただきありがとうございます。

お久しぶりの更新となってしまいました...


丸一年以上ブログを放置してしまった...汗

私事ではありますが、昨年から今年の春にかけてとにかく忙しく、なかなかブログを更新する余裕がございませんでした...

仕事もプライベートも手際よく両立できればいいのですが、何か他のことが始まるとすぐにこれまでしていたことが出来なくなってしまうんですよね...

まあこれに関しは致し方ないですね...昔からそんな感じの筆者です...


ともあれ、更新こそしていなかったものの、ブログの管理ページを覗くとちょくちょくアクセスはあったりして、2年くらい前に書いた記事がまだ見られてるんだな〜とか感動しておりました。


特に昨年は男性デュオBREATHE(ブリーズ)をはじめ、葛谷葉子の活動再開等、このブログで取り上げたアーティストの方々が再始動するという大変喜ばしいニュースもありました。

約2年前、「音楽に詳しい人」に憧れて何気なく始めたこのブログも、少しは意味があったのか...

ありがたいことです。


まあ筆者のことはこれくらいにして...


昨年はとにかく、筆者にとって本当に好みの作品がたくさんリリースされました。

いや〜もう最高でしたね 笑


まずは先述したBREATHEと葛谷葉子の再始動、並びに新作の発表。

BREATHEに関しては約6~7年くらい待ち望んだ「愛無情」の待望の音源化はもちろん、特に気に入ったのは新曲「Starlight & Moonlight」

これは良すぎる...

間違いなく筆者的2021年ベストソングスに名を連ねるでしょう !


葛谷葉子の「midnight drivin'」も最高だったな〜

まさか再始動すると思ってなかったので、その驚きや喜びも含めて既に思い入れが強い作品の一つになっています。

SNSの開設も嬉しかったですよね。


CHEMISTRY、松下洸平の快進撃も非常に印象深い一年でしたね。

リアレンジされた初期楽曲の連続発表をはじめ、ベスト盤の発売などデビュー20周年イヤーを彩る多くのサプライズがあり、一ファンとして本当に嬉しい限りでした。

特にライブでまさかの「You Go Your Way (LOONY TUNE Remix)」が披露され、その上その映像がベスト盤付属のDVDに収録されていたのが驚きでした。

このブログで散々「このRemixが好きだ」って言い続けたからかな...なんて思ってみたり 笑


俳優業だけでなく、歌手としても大きな飛躍を遂げた松下洸平の諸作品も最高でしたね。

「つよがり」「あなた」良質な大人のJ-POPはいつ聴いてもいいものです。


あとは平井堅のアルバム「あなたになりたかった」も良かったな〜

可能な限り削ぎ落とし、極限までミニマムなのに、圧倒的な魂(ソウル)を感じるんですよね。まさに「優しさに光を(「楽園」のワンフレーズ)」って感じですよね。泣けます。


年の暮れにはS.O.S.(Skoop On Somebody)が再びオリジナルメンバーで活動再開したニュースもあって、昨年は音楽に関しては筆者的に嬉しいニュースばかりでした。


今年はどんな曲たちを聴くことができるだろうか。

楽しみですね。


このブログもゆっくりで良いから更新していきたいです 笑


ご覧いただきありがとうございます。


ではまた次回 !





ちなみにボイトレスクールのHPは別に作りました。

⬇️URL

https://mellowvoice94.com


岩手住みで、ボイトレ興味ある方是非どうぞ。


ご覧いただきありがとうございます。

今回も前回に引き続きCHEMISTRYの作品を見ていきたいと思います。

前回はデビュー初期から2003年頃まで、すなわちCHEMISTRYの名付け親でもある松尾氏プロデュースの時期だったわけですが、今回からは遂にセルフプロデュース期に入ります。

このセルフプロデュース期を追うことで、CHEMISTRYがその後いかに熾烈な音楽業界を生き抜いてきたか、その重要なプロセスを再確認することができると思います。

というのも、繰り返しになりますがやはり大ヒットした松尾氏プロデュースによる初期の作品群は本当に人気が高い。

そりゃあもう知名度も抜群。CHEMISTRYのファンならずとも、当時青春を過ごした世代は一度は聴いたことがある人がほとんどでしょう。

そのため後々も様々な音楽番組でよく取り上げられるし、多くのアーティストにカヴァーもされたりなど、初期作品は日本を代表する歌モノの定番曲として、早い段階から一定の地位を築き上げたと言っても過言ではないように思います。


そして...上記のことを踏まえた上でのセルフプロデュース期...


想像するだけで半端じゃないプレッシャーがかかったのではないかと思えますよね 汗


しかし、その後の作品を聴くと、そんな心配は杞憂と思える程にCHEMISTRY二人のセルフプロデュース能力は非常に高かったと思わざるを得ません。

セルフプロデュースというだけあって、その後のCHEMISTRYの方向性の決定はもちろん、方向性に即した楽曲を大量のデモ音源から選定したり、理想とする楽曲に必要なクリエイターに依頼するといったことも自分たちで行っていったと思いますが、そのセンスがやはり抜群だと感じます。

活動初期から仕事を共にしてきた麻生哲朗氏や藤本和則氏、ケツメイシのRyoji、葛谷葉子はもちろん、大先輩久保田利伸、為岡そのみ、GIANT SWING、後に日本を代表するプロデューサーへと成り上がるnao'ymtによる楽曲提供など、目の付け所には一切の余念がありません。

言わずと知れたCrystal Kayとのコラボレーション曲もヒットしましたね。


と、このように今サラッと振り返っただけでも相当に破格のプロデュース。

それでいてCHEMISTRYらしさをしっかり感じることができるのはやはり二人の歌声が唯一無二だからでしょう !



それでは以下楽曲紹介

最後までご覧頂ければ幸いです。







「アシタへカエル」(2003)

2曲目の「Us」とともに両A面としてリリースされたセルフプロデュース一発目のシングル。

ノスタルジーを感じる暖かいサウンドにCHEMISTRY二人の優しい歌声がマッチした一曲。

筆者はこの曲聴くと自分の子ども時代を懐古してしまいます。

作詞は「PIECES OF A DREAM」の麻生哲朗氏。


「Us」(2003)

3rdアルバム「One×One」のリードを飾るアップナンバー。

JUJUや平井堅など多くのアーティストに作品を提供してきた強者、松浦晃久氏がサウンドを手掛けた一曲で、生音を重視した軽快かつお洒落なサウンドに前向きなリリックが映える傑作 。


「Bright Lights」(2003)

川畑・堂珍二人で作詞を手掛けた初の楽曲。どこか懐かしいシティポップっぽい雰囲気を感じる一曲...かと思いきや終盤はロック的な要素も感じる挑戦的な一曲。

その後のアルバムにも一切収録されていないので、CHEMISTRYの熱心なファンしか知らなさそうなコアな一曲でもある気がします。


「アシタへカエル (キボウノヒカリ Version) feat.HAB I SCREAM」(2003)

通常盤にのみ収録された「アシタへカエル」の別バージョン。

ヒップホップユニット「SOUL SCREAM(ソウルスクリーム)」のMC「HAB I SCREAM(ハヴ・アイ・スクリーム)」のラップが加わった一曲。こちらもいい !


「Us (PE'Z BLOODY MIX)」

こちらはジャズバンド「PE'Z(ペズ)」が参加した豪華なジャズアレンジの「Us」

原曲も最高ですが、こちらも負けず劣らずの完成度 !

というかこのシングル豪華ですよね 笑





「YOUR NAME NEVER GONE」(2003)

後述の「Now or Never」「You Got Me」と共にトリプルリードシングルとして発売された9枚目のシングルで、「名前」をテーマにしたリリックが印象的な一曲。

彼らの真骨頂とも言えるヴォーカルの化学反応を堪能できる芳醇なバラード。

「SPANOVA」が手掛けたオーケストラを思わせる荘厳なサウンドも極上 !


「Now or Never / CHEMISTRY meets m-flo」(2003)

m-floとコラボレーションしたm-flo節全開のかなりトリッキーな一曲。

やはりm-flo最高 !と叫びたくなる近未来的なピロピロサウンドの中、VERBALとCHEMISTRY の掛け合いが聴けるスペシャルナンバー。

アニメ鉄腕アトムの主題歌としても知られています。


「You Got Me」(2003)

3rdアルバム「One×One(ワン・バイ・ワン)」には未収録でしたが、この時期のCHEMISTRYに多く見られる生音によるおしゃれなサウンドが心地いいアップナンバー。

先述の「Us」に通じる作風で、こちらもお気に入り。





「So in Vain」(2004)

そしてこちらがこの時期のCHEMISTRY作品の中でも屈指の人気を誇る超傑作ミディアムナンバー。

R&B系シンガー「為岡そのみ」がサウンドを手掛けた作品としても知られていて、柔らかくスムースなメロディーが実に優しげで心地いい楽曲なのですが、それとは対照的にJuve氏によるリリックはかなり深く、互いに偽りで覆われた一組の男女の恋模様はとても一言では言い表せません。


「So in Vain (sugiurumn HOUSE MISSION MIX)」(2004)

こちらはミュージシャン、DJとして活躍するSUGIURUMN(スギウラム)によるDJプレイ向けにハウスアレンジされた「So in Vain」





「One×One(ワン・バイ・ワン)」(2004)

セルフプロデュース期に入り初となる3rdオリジナルアルバム。セルフプロデュースだからこそできる自由度の高いプロダクションが特徴で、1st、2ndと比較してみても川畑・堂珍二人の意向が多分に反映されたこだわりの一枚。

全体的には生音を重視したオーガニックなサウンドと、懐古的でありつつも前向きなリリックが特徴的で、聴き手を元気付ける非常に暖かみのある仕上がり。

そして注目すべきは落ち着いた作風ながらアップナンバーが想像以上に充実している点。CHEMISTRYと言えばその歌ぢからを活かしたバラード系のナンバーが有名な気がしますが、本作品ではリードを飾る「Us」やm-floとのコラボ「Now or Never」をはじめ、「my Rivets」「Ordinary hero」「赤い雲 白い星」などのアップナンバーがかなり良い味出してます。

ちなみにCDのジャケットやブックレットの写真はイタリアのナポリ街やカプリ島で撮影されており、ブックレットは朝から夕方にかけて時間の流れを感じさせるコンセプトになっているようです。



以下収録曲から抜粋してご紹介



「my Rivets」

川畑がプロデュースした楽曲で、前回記事で紹介した「Running Away」「FLOATIN'」に続くいわば「2ステップCHEMISTRYその3」

高速ビートによるスピード感ある仕上がりがたまらないです。

作詞はCHEMISTRY活動初期からその才能を大いに発揮しているケツメイシのRyoji。


「This age」

内省的なリリックが印象的なミディアムスロー。

登場人物の寂しげな旅路を感じますが、ラスサビ前のブリッジから情景がワントーン明るくなる印象を受けますね。


「meaning of tears」

川畑が作詞を手掛けたスローナンバー。

終盤のソウルフルな歌唱にいつも心を持ってかれます。やはりCHEMISTRY二人のヴォーカルによる突出した感情表現の妙は健在。

特にこの曲は作詞を手掛けただけあって川畑の声がいつにも増して沁みます。


「Ordinary hero」

S.O.S.(Skoop On Somebody)のKO-HEYがドラムで参加したロック色強い傑作ファンク。

抜群にノリがいいサウンドと、CHEMISTRYのパワフルな歌唱が最高 !


「赤い雲 白い星」

南国にトリップしたかのようなサンバテイストのサウンドが最高に心地良い一曲。

肩肘張らないリリックと歌唱に、ついつい身体を揺らしたくなりますね。

やはりこのアルバムは全体通してトリップ感を味わえるのが良いんですよね !


「いとしい人」

堂珍がプロデュースした胸キュン必至の傑作スウィートラブソング。

冒頭の汽笛や甘いリリックなど、おとぎ話し的なほのぼの感が可愛らしいですよね。

1st、2ndと比較して本作はわかりやすいラブソングは少なめでしたが、ラストにこんなスウィートラブソングはズルい ! 笑




「mirage in blue」(2004)

「Motherland」「Naturally Ours」で作詞を手掛けた浅田信一氏が作詞を担当した清涼感あるサマーチューン。

オリジナルアルバムには未収録でしたが、「Point of No Return」と並び「夏のCHEMISTRY」と言えばこちらもハズせない一曲 !





「Long Long Way」(2004)

HIP HOPベースながらもオーケストラっぽいアレンジが効いた奥行きあるサウンドが聴き応え抜群の一曲。終盤は転調やコーラスによってより一層ドラマティックな展開を見せます。

余談ですがCHEMISTRY活動休止中、筆者は川畑のソロライブに参戦したことがあるのですが、その時この曲が披露されて、この曲の良さを再確認したのをよく覚えています。


「涙のあと」(2004)

こちらはボサノヴァっぽいおしゃれなサウンドが特徴的ながらも、ヴォーカルの印象が強く残るCHEMISTRYらしいバラード。こちらもかなりお気に入り。


「Long Long Way (韻シストMIX)」

HIP HOPグループ「韻シスト」がプロデュースした別バージョン。

いや〜こちらも良いですね ! 

韻シストによるラップは言わずもがな、セッションっぽい仕上がりもカッコイイです !





「白の吐息」(2004)

後述するコンセプトアルバム「Hot Chemistry」に収録されたウインター・ラブ・バラード。

作詞作曲には「So in Vain」で実に味わい深い化学反応を見せたJuve、為岡そのみのコンビを、アレンジには自身もソロ作品をリリースするなど高い実力を誇る村山晋一郎を迎えた豪華仕様。

終盤に川畑・堂珍の圧倒的な化学反応を聴かせる王道のケミストリーバラードながら、聴けば聴くほど徐々にハマる中毒性を同時に含んだ名曲。





「Hot Chemistry」(2005)

こちらは数々の注目点が存在する「冬」をコンセプトにしたウインターアルバム。

アーバンな要素を極力排除したいわば「冬の暖炉」的な質感を全編通して味わえるまさしくホットな仕上がりが秀逸な一枚。

特にnao'ymt提供の「Why」、久保田利伸提供の「Monologue」、佐野元春提供の「グッドバイからはじめよう」など新録曲のクオリティが破格で、CHEMISTRYファンはもちろん、それ以外の人にもおすすめのしたい冬のマスト盤。



以下収録曲から抜粋してご紹介


「ココロノドア」

恋人を引き止めなかった後悔を描いた一曲。

雪を連想させるウインターバラードらしいサウンドが、登場人物の心情にそっと寄り添います。


「Why」

ブレイク前の「nao'ymt(ナオワイエムティー)」が提供した傑作スロージャム。

実にnao氏らしいリリックやサウンドが特徴的な作品ですが、nao氏のソロ作品というよりは、nao氏が所属するR&Bコーラスグループ「Jine(ジャイン)」のレパートリーにありそうな楽曲なので、「Jine」によるセルフカヴァーを是非聴いてみたい一曲。


「Monologue」

久保田利伸がサウンドプロデュースしたグルーヴ感満載のスムースR&B。

ほんとこの曲聴いてると久保田氏の歌声が同時に聴こえてくる感覚になります。

こちらも是非ご本人にセルフカヴァーしてほしい一曲。最高 !


「グッドバイからはじめよう」

日本の音楽シーンで数々の功績を残した佐野元春が手掛けたジャズテイストの一曲。CHEMISTRY二人の歌声の良さが最大限引き出せれている気がします。

アレンジに「COLDFEET(コールドフィート)」が参加しているのも見逃せないポイント。


「チャイム」

堂珍が作詞を手掛けた本アルバムを象徴するかのようなナンバー。

川畑・堂珍の超絶ケミストリーを終始堪能できる歌ぢから溢れる仕上がりに、聴き手の「こころのチャイム」も鳴りっぱなし ! 最高 !






「キミがいる」(2005)

これまで紹介してきた2STEP系作品のスピード感を継承しつつも、より明瞭に、よりポップに仕上がった快活なアップナンバー。

カラオケでも一人で歌うと息継ぎとか大変なんですよね 笑

CHEMISTRYの二人がそれぞれカレーを手作りするPVが印象的。


「Dance With Me(KOREA/JAPAN Ver.) CHEMISTRY & Lena Park」(2005)

「Let's Get Together Now」で共演した韓国のR&B系シンガー「Lena Park(リナ・パーク)」と再びコラボした楽曲。

リナ・パークの声がかわいい !






「Wings of Words」(2005)

「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」のOPテーマとしての印象も強い15枚目のシングル。

「最後の夜」「B.M.N」などでその才を存分に発揮した葛谷葉子がサウンドを手掛けた一曲。

PVといい曲の雰囲気といい、異国情緒溢れるメルヘンな仕上がりがいいんですよね !

こういうCHEMISTRYも結構好きです。


「Change the World」(2005)

誰もが一度は耳にしたことがあるであろう世界的に有名な楽曲のカヴァー。

これまでにCHEMISTRYの様々なカヴァー曲を聴いてきましたが、これが一番好きかも...

ほんと最高 ! 声が良すぎる...そして歌が上手すぎる...

アレンジは先述の「Why」を手掛けたnao'ymt。





Crystal Kay × CHEMISTRY「Two As One」(2005)

Crystal Kayのシングルとして発売されたコラボレーション楽曲。

歌詞は2種類存在し、こちらは女性視点のバージョン。男性視点のバージョンはシングル「almost in love」のカップリング、後述する4thアルバム「fo(u)r」に収録されています。

余談ですがこの曲のCHEMISTRYパートは結構キーが低いので高い声が出にくい人でも歌いやすい気がします。





「almost in love」(2005)

そしてこちら。ファンの間でも特に人気の高いCHEMISTRY史上最高峰の超傑作スウィート・ラブ・バラード。

甘いリリック、ロマンチックな展開、美しいPV、そして超絶ケミストリー !

これは惚れますよ...

筆者的、女の子の前で上手に歌えたらモテそうな曲No.1 笑


「Two As One」(2005)

男性視点バージョンの「Two As One」





「fo(u)r(フォー)」(2005)

4thアルバム。オーガニックな心地良さを意識し、どちらかというと内向的かつ静的な印象を受けた前作「One×One」とは打って変わり、本作は開放的かつ動的なエモーショナル感を強く感じる仕上がりが特徴。と同時にCHEMISTRYアルバム史上最高レベルにバラエティに富んだラインナップで構成された一枚。

ゴスペルを取り入れた「Here I am」「for...」ロック色を全面に打ち出した「伝説の草原」T.Kura、MICHICO夫妻によるコテコテのR&B「Grind For Me」など、一曲ごとに大きく毛色を変える非常に挑戦的なプロダクションに驚かされます。

さらには、この時期のCHEMISTRYの楽曲は歌唱難易度がかなり高いように感じますが、それらハイレベルな楽曲を歌いこなすCHEMISTRY二人の歌声の進化が著しい。

ここまで多種多様ながらも、アルバム全体の統一感が損なわれないのはCHEMISTRY二人の歌声が軸にあるからでしょう ! 

このアルバムあたりでいわゆる「ケミストリーブランド」が確立されてきたように感じます。



以下収録曲から抜粋してご紹介


「Here I am」

リードを飾るに相応しいアップテンポな爽快ゴスペルナンバー。

クワイヤをバックに高らかにアドリブを歌い上げる川畑・堂珍の歌唱にのっけからテンション爆上がり !


「nothing」

作詞に古内東子、作曲に葛谷葉子、アレンジにOCTOPUSSYという破格の布陣で製作された傑作美メロR&B歌謡。

この上ない流麗な仕上がりに陶酔 ! そして必聴 !


「伝説の草原」

最初聴いた時に驚きを隠せなかった超意外なバンド感溢れるロックナンバー。

がしかし、やはり本アルバムに必要不可欠な楽曲であったと強く感じます。草原というだけあって爽やかな風を感じます。


「Grind For Me」

遂に実現したT.Kura、michico夫妻による「GIANT SWING」とCHEMISTRYのコラボレーション。CHEMISTRY史上最エロR&B。クオリティは言わずもがな破格。

今尚J-R&Bファンから根強く愛される一曲。


「believin'」

数多くのアーティストに楽曲提供する裏方として活躍しつつ、自身もシンガーとして卓越した才能を持つ「AKIRA」や男性二人組ユニット「SOFFet(ソッフェ)」が詩曲を提供した楽曲。ニュー・ジャック・スウィングをベースにしたポップなミッド。


「for...」

アルバムラストを飾る壮大なゴスペルナンバー。渡邉亜希子氏による普遍的なリリック、CHEMISTRYの圧巻の歌唱に脱帽 ! 

CHEMISTRY史に残る超絶大作 ! 必聴 !





「Re:fo(u)rm(リ・フォーム)」(2006)

上記「fo(u)r(フォー)」に収録された楽曲の別バージョンだけで構成されたリミックス・アルバム。どの曲も原曲とは違った良さがあるので、気になった方は是非。

筆者は「キミがいる(MATALLY New Era Mix)」「Wings of Words (alas de palabras)」「Grind For Me (PUM PUM Mix CHEMISTRY feat.BOY-KEN」「Long Long Way (韻シストMIX)」あたりがお気に入り。






いかがでしたでしょうか?

初期作品ほど知名度は高くないかもしれませんが、どれも忘れられない楽曲ばかりですよね。

R&Bブームに上手く迎合することでヒットした彼らですが、それ以降の楽曲も負けず劣らずのクオリティ !

むしろこの頃のCHEMISTRYが好きっていう人も結構いるかもしれませんね。

皆さんのお気に入りの楽曲も必ずあるハズ !


最後までご覧いただきありがとうございます。


ではまた次回 !









ご覧いただきありがとうございます。

早速ですが、3月7日で遂にCHEMISTRY(ケミストリー)がデビュー20周年を迎えましたね !

ファンの一人として本当に嬉しく思います。

活動初期から現在に至るまで、第一線で活動し続けるその姿勢に筆者も多くの感銘を受けてきました。

思えば音楽に興味を持つきっかけになったのも、R&Bという言葉を知ったのも彼らの存在が大きかった気がします。



ということで、記念すべきこのタイミングで改めてその作品を振り返ってみたいと思います。

本当は3月7日までにこの記事を書き終えたかったのですが、結局ダラダラと伸びてしまったという...笑



そんなことはさておき...

まずは一応CHEMISTRYのプロフィールをざっくりご紹介。



「CHEMISTRY(ケミストリー)」は「モーニング娘。」などを輩出したオーディション番組「ASAYAN(アサヤン)」が2000年〜2001年にかけて実施した企画「男子ヴォーカリストオーディション」において、約20000人に近い参加者の中からグランプリに選ばれた川畑要(かわばたかなめ)と堂珍嘉邦(どうちんよしくに)からなるヴォーカルデュオ。


曲によってはダンスを踊ったり、ギターの弾き語りもしますが、基本的には両者ともマイク一本でその圧倒的な歌声を聴かせるヴォーカリスト。


川畑の太く力強い歌声と堂珍の鋭くも艶やかな歌声が特徴。ソロとしても圧倒的な歌声ですが、彼らの強みはその対照的とも言える両者の歌声が作用し合うことで生じる音楽的化学反応(ケミストリー)にあります。

これはそのまま彼らのアーティスト名にもなっていますね。


歴史上最も偉大なR&Bヴォーカルグループの一角「Jodeci(ジョデシー)」のメインヴォーカルを務めるヘイリー兄弟を想起せずにはいられません。

太くソウルフルなヴォーカルで圧巻のパフォーマンスを披露するK-CIと突き抜けるようなハイトーンが美しいJOJO...

CHEMISTRYの歌声にはそんなレジェンドを彷彿とさせる強烈なインパクトがありますよね。


つまりは「声」が主役なんですね。


CHEMISTRYの生みの親でもある松尾氏は1stアルバム「The Way We Are」におけるプロダクションノーツでCHEMISTRYについて「曲を聴かせることよりも、二人の声を聴かせることに主軸をおいている」的な発言をしていたのが凄く印象的でした。


これはCHEMISTRYの作品を聴くにあたって最も重要なことかと思います。


当時オーディションに携わっていたスタッフの課題は「前例のない男性ヴォーカルデュオ」の誕生。

日本の音楽シーンには他にも多くの男性二人組ユニットが存在しますが、「歌声が生み出す化学反応」に焦点を当てたデュオはやはりCHEMISTRYくらいかと思います。



そして歌声と同時に彼ら最大の強みと言っていいのがセルフプロデュースの上手さ。

松尾氏と楽曲制作を共にしていた2001~2003年以降は、彼ら自身でその方向性を決めていくセルフプロデュース期に入りますが、改めて彼らのキャリアを遡ってみると本当にバリエーション豊かな楽曲たちを自分達流に表現するのが上手すぎて驚きます。

デビュー以前にバンド経験があるわけでもなく、ましてや自分たちで作詞・作曲をメインにするわけでもない...

それでいてこのプロデュース力...すごいです...

先述したように「声」が主役ではあるものの、必要であればダンスもするし、ヴォーカル加工もする。「彼ららしさ」を残しつつトレンドに合わせ柔軟に対応していくことで息の長い活動に繋がったのだとつくづく思います。

これは良い音楽を聴き分け選びとる耳の良さ、時代の潮流を受け入れる柔軟なセンスがあってこそですよね。本当に凄いです。


そして再始動後の原点回帰ですよ !

いや〜アツいですね ! 笑




ということでCHEMISTRYの作品を見ていきましょう。

第一回はもちろん活動初期。

松尾氏プロデュース時代の作品群になります。

この時期の作品は本当に人気ありますよね...

まだギリギリCDが売れる時代だったこともあり、シングル、アルバム共に爆発的ヒットを記録。CHEMISTRYのファンならずとも誰もが一度は耳にしたことのあるであろう有名なナンバーが目白押しです。


最後までご覧頂ければ幸いです。




「最後の夜」(2000)

CHEMISTRYが誕生する少し前「ASAYAN超男子。川畑・堂珍」名義で発表されたカヴァー作品。「男子ヴォーカリストオーディション」最終選考の際に仮デビューという形で限定発売され、オリコン初登場9位を記録。

原曲は以前松尾氏の記事でも紹介したシンガーソングライター葛谷葉子の同名曲。彼女ならではの美しいメロディーに乗る川畑・堂珍の化学反応が極上。


「My Cherie Amour」(2000)

こちらは言わずと知れたスティービー・ワンダーのソウル・クラシック。

「ASAYAN」はその参加者の心情や練習風景にも密着したリアリティさが魅力の番組でしたが、この「男子ヴォーカリストオーディション」は今改めて見返すと旧譜の再発掘という意味でも非常に面白いですよね。





「PIECES OF A DREAM」(2001)

ミリオンヒットを記録した記念すべきデビュー曲。

その仕上がりは日本語スムースR&Bミディアムの最高峰。20年経った今も一切色褪せません。

もう何度聴いたことか...ハモリとかもかなり真似してましたもん 笑

余談ですが、デビュー当時のライブ映像見ると、川畑はHIP HOP色強いビッグサイズの衣装なのに対して堂珍はジャケットとのセットアップという...あまりに対照的なファッションなんですよね...笑 それがまたカッコイイんですけどね ! 


「Two」(2001)

ライブのラスト一曲としてもしばしば披露される柔和なバラード。出会いと別れが交差する春の季節にぴったりの一曲。

R&B全開の「PIECES OF A DREAM」のカップリングにこういう曲を収録するあたり、当時のスタッフはR&Bブームのその先にいるCHEMISTRYのアーティスト像をこの時点で見据えていたのだと思えてなりません。





「Point of No Return」 (2001)

R&Bの聖地、米国アトランタ。そこで当時最新鋭だったフォーマットを大々的に取り入れた傑作サマーチューン。

爽やかなサウンド、哀愁漂う切ないリリックが夏の終わりを演出する一曲ですが、やはり二人の声圧が唯一無二。いかなるトレンドもやはり二人の歌声を引き立たせる素材であるという事実に驚嘆する他ありません。


「Point of No Return (ケツメイシのRemix)」

そして原曲に劣らない根強い人気を誇るリミックスがこちら。

ケツメイシによる軽快なラップがクセになる一曲で、よく友達とパート分けしてカラオケで歌っていました 笑 友達がやたらケツメイシのラップを真似したがるんですよね 笑

そしてこの曲には何気にPVが存在。初のMV集である「CHEMISTRY THE VIDEOS: 2001~2002 ~What You See Is What You Get~」に収録されています。





「You Go Your Way」(2001)

CHEMISTRY初期三部作のラストを飾る珠玉のバラード。

作詞を手掛けた小山内舞は松尾氏の別名義でのペンネーム。松尾氏が作詞を手掛けた作品の中でも1~2を争うほど好きな作品です。

「想いは想いのままで 熱を失うだけ」

松尾氏が紡ぎ出す愛のカタチ、CHEMISTRYの魂の歌唱に涙腺崩壊。

これからも多くのファンに愛されるだろう決して色褪せない超絶傑作と言えるでしょう!


「B.M.N.(BIG MAN NOW)」(2001)

「最後の夜」でその圧倒的なメロディセンスを発揮した葛谷葉子が新たに手掛けたディスコナンバー。高揚感あるサウンドが最高ですね。


「You Go Your Way (Acappella Mix) featuring ARC Gospel Choir」(2001)

こちらはCHEMISTRYとゴスペルクワイヤによるアカペラバージョン。

ラストの「you go your way~ i go my way~」のコーラスが聴きごたえ抜群。2004年の東京フィルハーモニーオーケストラをバックに招いたサントリーホールでのライブ「響」でのパフォーマンスはもはや伝説。圧巻ですよね...





「The Way We Are」(2001)

先述した初期シングル三部作を含む1stフルアルバム。300万枚に迫る売り上げを記録した歴史に残る超大ヒットアルバム。

先述したように「声」を主軸に聴かせることをコンセプトにしているため、サウンドプロダクションを少数の作家に絞らず、一曲ごとに別の作家を起用しているのが大きな特徴。

実に多彩なクリエイター陣が各々の仕方でCHEMISTRY二人の「歌声」の良さを最大限引き出した「歌ぢから」溢れる仕上がりで、全編通して歌声の響きが半端じゃないです。

大勢のクリエイターが参加しつつもサウンドの質感がしっかり統一されてるのも本当にすごいです。



以下収録曲から抜粋してご紹介

(ソロ曲は除く、それぞれのソロに関してはいつか個別で書きたいので)



「Intro-lude ~The Way We Are~」

CHEMISTRY二人のアカペラによるイントロ。

プロデュースは自身もシンガーとして圧倒的実力を誇る和田昌哉。CHEMISTRYのヴォーカルプロデューサーとしても長年大活躍されていますね。


「合鍵」

古内東子によるリリックと松原憲氏のサウンドが強烈な印象を植え付けるファンの間でも特に人気のナンバー。

シングル候補だったというのも頷けるハイクオリティな一曲。


「愛しすぎて」

ファンの間で人気と言えば当然外せないのはこちらも同じ。

この曲の元になったのは当時松尾氏に送られてきた一本のテープ。そこにはケツメイシのRyojiによるシンプルな本曲の弾き語りが録音されていたそうです。

CHEMISTRYの二人にしか成し得ない究極の化学反応が鳥肌もの!


「C'EST LA VIE」

フランス語のタイトルが印象的なナンバー。

鷺巣詩郎氏が手掛けた多様なジャンルを感じるサウンドにゴスペルクワイヤが加わる解放感溢れる仕上がりが絶妙。

筆者は葛谷葉子の傑作「サイドシート」を思い出しました。


「Rewind」

初期CHEMISTRYのレパートリーの中でも特にアダルトなR&Bファン必聴の一曲。

嶋野百恵あたりを彷彿とさせるいわば「ビート歌謡」の傑作。


「Motherland」

アルバムラストを飾るハートフルなナンバー。

先述したアカペラのイントロ「Intro-lude ~The Way We Are~」でアルバムが始まり、本曲「Motherland」の終盤もアカペラで締め括る。

この構成も偶然ではなく、もちろん松尾氏の計らい。感動 !





Usher featuring CHEMISTRY 「U Remind Me (KC's Smooth Remix)」(2001)

そしてCHEMISTRYはデビューそうそうあのUsher(アッシャー)とコラボレーションしているという...リスナーはもちろん、本人たちが一番驚きそうですよね...笑

本曲は2001年に発表され全米No.1ヒットを記録した「U Remind Me」を松尾氏が新たにリミックスしたもの。アルバム「8701」の日本盤ボーナストラックにのみ収録されています。

先述した「Intro-lude ~The Way We Are~」を彷彿とさせるCHEMISTRY二人のアカペラから始まり、終盤は川畑、堂珍それぞれが強烈なヴォーカルでその存在感を存分にアピールしています。






「君をさがしてた ~New Jersey United~」(2002)

原曲は2ndシングル「Point of No Return」にカップリングとして初収録された「君をさがしてた ~The Wedding Song~」

稀代のヒットメーカー川口大輔が詩曲を手がけ、CHEMISTRYが世に送り出し、Sky's The LImitがX FACTOR優勝を決めた曲であり、20世紀最高のヴォーカルグループBoyz II Menがカヴァーした楽曲でもある。

ポップミュージック史に残る実に偉大な一曲と言えるでしょう。


「Running Away」(2002)

CHEMISTRYのレパートリーの中でもかなり独特な存在感を持つ一曲。UK発祥ビート2ステップを取り入れたテクニカルなナンバー。

後述するリミックスアルバムにおける松尾氏のライナーノーツによると、本曲は先述した「B.M.N.(BIG MAN NAW)」の続編とされており、リリックが対をなしています。






「FLOATIN'」(2002)

2ステップCHEMISTRYその2。先述の「Running Away」でも圧倒的な技量を発揮したI.S.O.氏によるこれまた破格の完成度を誇る5thシングル。

どこか冷めた若者像のリリックもお気に入りで、一時期狂ったようにリピートしてました 笑

そしてこの「FLOATIN'」や「愛しすぎて」のラストにおけるCHEMISTRY二人の仰々しいまでの雄叫びが凄く好きなんですよね 笑


「BACK TOGETHER AGAIN」(2002)

美しくもやけに寂しげなトラックが沁みる初期CHEMISTRYの傑作バラード。

CHEMISTRY二人のハーモニーの美しさに陶酔必至 ! このハーモニーが後のCHEMISTRYの数ある極上バラードナンバーに繋がったような気がします。

しかも作曲は自身もシンガーとして活躍する今井大介 ! 豪華 !

別バージョン「BACK TOGETHER AGAIN FOOTSTEPS ON THE BEACH」も激しくお勧め。






「It Takes Two」(2002)

先述した和田昌哉がサウンド及びヴォーカルプロデュースでその手腕を大いに発揮した超傑作R&Bナンバー。

キックの効いた重く、しかしながら鋭敏なサウンド、圧倒的な熱量のヴォーカル...

CHEMISTRY史上最高レベルにソウルフルなその仕上がりに脱帽 ! めっちゃカッコいいです !

そんな本曲のテーマは松尾氏曰く「ふたりだからこそ起こし得る奇跡」


「SOLID DREAM」(2002)

出だしの「朝靄」というフレーズからもわかるように朝に聴きたくなる優しげな一曲。デビュー曲「PIECES OF A DREAM」における作詞を手掛けた麻生哲朗氏のリリックが実に味わい深い一曲。

なんか浄化される感じがしますよね。


「MOVE ON」(2002)

ライブの一曲目でもしばしば披露されるダンサンブルなナンバー。

これまた鷺巣氏のサウンドが最高なんですよね ! そしてラストの川畑、堂珍の掛け合いからのロングトーンが最高 ! テンション上がります。






CHEMISTRY meets S.O.S.「My Gift to You」(2002)

世界初の着うたソングにもなった一曲で、S.O.S.(Skoop On Somebody)が楽曲提供したスウィート・ウインター・ラブ・アムセム。

後にS.O.S.が本曲に関して「日本語R&Bの終着点」と豪語する最高品質のサウンドクオリティが破格 ! 永遠の冬の定番曲と言えるでしょう !

S.O.S.がセルフカヴァーしたバージョンはもちろん、男性デュオBREATHEがカヴァーしたバージョンも凄く好きです。






VOICES OF KOREA/JAPAN 「LET'S GET TOGETHER NOW」(2002)

2002年、日韓合同FIFAワールドカップの公式テーマソングを歌唱するために、日韓それぞれから二組のアーティストを選抜し、計4組のアーティストで構成されたのが期間限定ユニット「VOICES OF KOREA/JAPAN(ヴォイセズ・オブ・コリア・ジャパン)」

メンバーは日本からCHEMISTRY、当時まだデビュー前だったSowelu(ソエル)、韓国からリナ・パークとブラウン・アイズ。

世紀のコラボレーションとなったこのプロジェクトにおける本曲「LET'S GET TOGETHER NOW」を手掛けたのは川口大輔。

原曲も素晴らしいですが、川口大輔のソロアルバムには本曲をセルフカヴァーしたバージョンが収録されており、それがまたいい !






「Second to None」(2003)

大ヒットした前作「The Way We Are」の流れを汲みつつも、前作では見られなかった新しい試みが随所に散りばめられた挑戦的な一枚。こちらもめでたくミリオンヒットを記録。

先述した強力なシングル曲はもちろん、奥田民生や柴田淳が手掛けたアルバム曲の完成度も非常に高く、一曲一曲が放つ存在感の大きさはCHEMISTRYの数あるアルバム作品の中でも随一を誇る気がします。

後のライブ定番曲ばかりですよね...ベスト盤と言ってもいいくらいの内容です...

そしてやはりCHEMISTRY二人のハーモニーの進化が著しい ! 化学反応恐るべしですね...



以下収録曲から抜粋してご紹介



「Intro-lude ~You're My Second to None~」

前作同様に和田氏が手掛けたイントロ。

筆者の中ではヴォーカルアルバムのイントロといえば和田氏 ! 相変わらず最高です。


「STILL ECHO」

ケツメイシのRyoji、YANAGIMANがサウンドを手掛けた一曲で、シングル曲以上に一部から熱狂的支持を得る浮遊感のあるスロー。

やるせないリリックを見事に表現する咽び泣くような歌唱が最高です。


「Let's Get Together Now (Tokyo Colling)」

「VOICES OF KOREA/JAPAN」として発表された同曲のCHEMISTRYバージョン。


「月夜」

柴田淳がリリックを手掛けた、ヴォーカルとピアノ伴奏のシンプルな構成で魅せる超絶ケミストリー。二人のハーモニー、川口大輔のピアノ伴奏が最高の余韻をもたらします。

柴田淳は後にこの曲のアンサーソングとして「月の窓」という楽曲を発表しています。


「マイウェイ」

あの奥田民生がプロデュースした一曲。軽妙なリズムにオーガニックな質感のサウンドが抜群にお洒落で心地良いです。

なんとなく次回作「One×One」に通じる雰囲気を感じます。






「Between the Lines」(2003)

既存曲のリミックス作品とカヴァー曲からなるアルバム。

セルフプロデュース期に入る以前、松尾氏プロデュースのもと発表された最後の作品です。

リミックスを手掛けたアーティスト達は皆、音楽シーンで多大な功績を残す強者ばかりで、言うまでもなくクオリティはお墨付き。こちらもコンセプトアルバムでありながらヒットを記録。言わずもがなスルー厳禁です。


以下収録曲から抜粋してご紹介



「Naturally Ours」

本記事でも幾度となく登場した和田昌哉がサウンドプロデュースした楽曲。後に彼は自身のコンサートで本曲のセルフカヴァーを披露。これがまた最高なんですよ !

コンサートの模様は音源化もされていて、2007年発表のライブアルバム「My Flavor -Dinner for the Soul-」に収録されています。


「It Takes Two (OCTOPUSSY Remix feat.LISA)」

当時破竹の勢いでその存在を世に知らしめたHIP HOP姉妹デュオ「SOULHEAD」のサウンドプロデュースで有名なOCTOPUSSYが手掛けたリミックス。

m-floからはヴォーカルのLISAが参加するという豪華仕様。

なんかLISA +男性ヴォーカリストの作品は全て良い気がする...

平井堅「TABOO a tip of m-flo Remix」しかり... Joi「FREAK ME featuring LISA」しかり...


「恋するカレン」

言わずと知れた大滝詠一の名曲カヴァー。

再始動後にテレビ出演していたCHEMISTRYがこの曲披露していた時は驚きました。

今歌うとさらにしっくりくる気がしますよね。


「You Go Your Way (LOONY TUNE Remix)」

以前の記事でも紹介したHIP HOPバンド「Loop Junktion」のMC山仁以外のメンバーからなる「LOONY TUNE」が手掛けたリミックス。

筆者はCHEMISTRYのリミックス作品でこれが最も好きです。


「君をさがしてた シーモネーター&DJ TAKI-SHIT Remix feat.CRYSTAL BOY(nobody knows)」

ブレイク前のSEAMO(シーモ)をはじめ、HIP HOPの強者3名がフィーチャーされたHIP HOPアレンジの「君をさがしてた」

ケツメイシもそうですけど、CHEMISTRY +HIP HOPアーティストも相性抜群です。

最初「シーモネーターって 笑」と苦笑いしてしまいましたが 笑






今回は以上になります。

言わずと知れた知名度の高いシングル曲はもちろん、アルバム曲に至るまで名曲だらけ。

本当にどの曲も忘れられません。

お気に入りの作品はございましたでしょうか?

次回はセルフプロデュース期の作品です。


最後までご覧いただきありがとうございます。


ではまた次回 !


ご覧いただきありがとうございます。

約一ヶ月ぶりの更新になってしまいましたが...汗


今回も楽曲紹介記事になります。


テーマは「SUGAR SHACK」


00年代後半〜テン年代前半あたりにかけて隆盛を誇ったJ-R&Bを象徴する、日本のR&B好きなら知らない人は居ないであろうビッグプロジェクト。


当時青春を過ごした世代の方々からすると、もはや説明不要な感もありますが...このブログは音楽に特に興味のないであろう筆者の友人たちも慈悲で読んでくれてるので、こういった形でまとめれば興味を持ってくれるんじゃないかと...笑


あとはやはり読者の方の中でもかなり若い世代の方は案外知らなかったりもすると思うので改めてご紹介したいと思った次第であります。

現行のシティポップやオルタナティブに慣れ親しんでいればいるほど、むしろ新鮮味があるかも知れません。


J-R&Bという言葉を聞かなくなって久しいですが、当時生み出された今尚色褪せない名曲の数々を堪能するのは実に楽しいです。

まあこないだ何気なく「LL BROTHERS」や「Full Of Harmony」の曲を聴いていたらテンションが上がりすぎて唐突に思い立ったというのが実際のところですが...笑 








まず初めに「SUGAR SHACK(シュガーシャック)」は2008年、R&Bの更なる発展と隆盛を目的として発足されたプロジェクト。

とりわけ男性R&Bアーティストをメインに据えたライブイベントを企画、運営するために組織されたいわば「男性R&B夢の共演」


総勢11組、計14名の男性R&Bアーティストからなり、メンバーは「SUGAR SHACK FAMILY」と呼ばれています。


FAMILYの内訳は以下の通り



Full Of Harmony (HIRO、ARATA、YUTAKA)

LL BROTHERS (TAKANORI、MASAYA)

HI-D

三浦大知

LEO

CIMBA

TSUYOSHI

真之介

JAY'ED

Lugz&Jera

MICHIYA




今回はこのSUGAR SHACK FAMILY及びその楽曲についてざっくり紹介していきます。

最後までご覧いただければ幸いです。





Full Of Harmony 「G.O.O.D TIMES Feat.Teddy Riley」(2007)

日本が誇る至高の男性R&Bコーラスグループ「Full Of Harmony(フルオブハーモニー)」

1999年のデビューから現在に至るまで第一線で活躍し続ける日本におけるR&Bのパイオニア。メンバーはHIRO、ARATA、YUTAKAの三名。

今回のテーマ「SUGAR SHACK」プロジェクトの発起人でもあります。

彼らの作品を初めて聴いた時の衝撃は未だに忘れられません。楽曲の完成度、メンバー全員の卓越した歌唱力から放たれる高次元のハーモニー、黒人と言わんばかりの圧倒的なアドリブ...

「こんな人たちがいたのか...!」と驚かずにはいられませんでした。

その後もR&Bファンを唸らせる作品の数々を発表する彼らですが、またしても衝撃的だったのは2006~2007年にかけての海外プロデューサーとのコラボレーション三部作。そのラストを飾る「G.O.O.D TIMES Feat.Teddy Riley」は筆者の特にお気に入り。というか全R&Bファン必聴の一曲でしょう !

あのTeddy Rileyですよ !





LL BROTHERS 「Lovesick〜笑顔の裏で〜」(2011)

そして初めて聴いた時衝撃を受けたと言えばやはりこちらのお二方も...

「LL BROTHERS(エルエルブラザーズ)」は実の兄弟であるTAKANORIとMASAYAからなるR&Bシンガー・ソングライター・デュオ。

90年代前半「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」における企画「ダンス甲子園」での活躍により一躍時の人状態となった後、音楽性の追及のため自主的に芸能活動を制限。

長い沈黙の後、遂に2000年に表舞台に復帰。さらに磨きがかかったダンスパフォーマンスに加え、圧倒的な歌唱力をも身に付けた彼らのポテンシャルは想像を遥かに超えていました。

彼らもまた上記Full Of Harmony同様、日本におけるR&Bのパイオニアにして重鎮。

エロスを全面に押し出したセクシャルナンバーが彼らの代名詞ですが、筆者はバラード系の曲も大好きで、この「Lovesick〜笑顔の裏で〜」は繊細な男心を美しいサウンドと熱いヴォーカルで表現する名曲。最高です。

裏方としても活躍されていて、CHEMISTRYや三代目J Soul Brothers、EXILE THE SECONDにも楽曲提供してましたよね。






HI-D 「Be With You」(2005)

2003年、ZEEBRAを客演に迎えた名曲「Girlfriends feat.ZEEBRA」で鮮烈なデビューを飾った「HI-D(ハイ・ディー)」

日本でのデビュー以前、海外で活躍したダンスチームのメンバーだったということもあり、そのダンススキルは超一流。シンガーとしても卓越した技量を持ち、当時のR&Bシーン隆盛の立役者となったカリスマ的存在。

HIP HOP、R&Bをベースとしつつも、いい意味で親しみやすい楽曲群は人気が高く、多くのリスナーの支持を獲得。

2005年発表の3rdソロアルバム「ME II YOU」に初収録された本曲「Be With You」は彼を代表するスウィートラブバラード。

甘いリリック、オーセンティックなR&Bマナーのヴォーカルがカッコいい!

なんかのインタビューであの向井太一さんもこの曲を強く推してましたよね。






三浦大知 「Who's The Man」(2010)

そして前回記事に引き続き登場の三浦大知。

彼もまた、「SUGAR SHACK」発足時からのメンバー。もちろんメンバー最年少なわけですが、それを感じさせない圧倒的なセンスで言わずもがなの大活躍。

現在では国内外問わず多大な支持を得るビッグアーティストなので、なかなかSUGAR SHACKとしての活動は難しいのかもしれませんが、またいつか先輩方とコラボレーションしたのを見てみたいですよね。

あれ ? 先輩方? そういえばFolderのデビューが1997年だから...芸歴としてはLL BROTHERSに次いで長いのか ! 笑 

本当に生まれついてのアーティストですね...

それはさておきやはり「R&Bの三浦大知」と言えば2ndアルバムの「Who's The Man」

J-R&B史に残る究極のマスターピース。






LEO 「君がくれたもの」(2012)

2004年、R&B系のプロデューサーとして名高い今井了介氏プロデュースの元、同じくSUGAR SHACKのメンバーであるMICHIYAを含む男性4人組コーラスグループ「JOYCE」としてデビューしたLEO。

同グループ活動終了後はソロシンガーとしてのキャリアをスタート、数々の客演やソロ曲の発表で実力を磨く中、ついに2012年に1stフルアルバム「ONE VOICE」をリリース。

1stアルバムにして彼の長年のキャリアの集大成とも言える本作品は、今井氏率いる「Tiny Voice Production」のサウンドとLEOならではの唯一無二のヴォーカルの魅力が堪能できるハイクオリティな傑作。

SUGAR SHACK FAMILYの中では割と歌謡曲との親和性が高いアーティストな気がするので、R&B入門としてもおすすめできる気がします。

特に代表曲「君がくれたもの」はR&Bと歌謡曲の特性を高次元で両立した永遠の名曲と言っていいでしょう !





CIMBA 「REPLAY~next lifetime~ feat. Mr.Low-D, DJ LAW」(2009)

幼少期をブラジルのリオデジャネイロで過ごしたというCIMBA(シンバ)

J-R&Bが隆盛を極める00年代後半、シーンに颯爽と登場し瞬く間にその知名度を上昇させたJ-R&Bシーンの中核を担う実力者。

その活躍たるやまさしく飛ぶ鳥を落とす勢いで、活動初期から「REPLAY~next lifetime~ feat. Mr.Low-D, DJ LAW」や「奇跡 feat. 宏実」など今尚愛される名曲を連発。

その甘い歌声、楽曲センスで多くのR&Bファンを虜にしました。

初期のメロディアスなR&Bはもちろん素晴らしいですが、近年のHIP HOP隆盛に柔軟に対応した数々の作品も聴き応え抜群。

作品によっては結構コミカルだったり、割とお下劣にもなりかねないリリックにも関わらず凄く品があるのは安定感抜群の歌唱がなせる技。

近年の作品では中毒性の高い「ベイビーバイバイ」あたりがお気に入り。






TSUYOSHI 「Ooooh」(2008)

TSUYOSHI(つよし)は2008年にデビューした名古屋出身R&Bシンガー。

その特徴はR&Bというジャンルを象徴するかのような聴き心地抜群のヴォーカルで、ハイトーンから息遣いに至るまで極めてメロウなその質感に陶酔必至。

2008年に発表された「Ooooh」はEXILE「24karats」シリーズを手がける「STY」と「Bach Logic」による超絶傑作ナンバー。

「これぞR&B !」と言えるサウンドプロダクションと歌唱に脱帽 !

他にもデビュー曲「優しい涙」をはじめ名曲多しなので気になる方は是非掘り下げてみてはいかがでしょうか?

ちなみに以前TSUYOSHIはR&Bプロデューサー/ディレクターの西崎信太郎氏とニコニコ生放送で「TSUYOSHIと西崎信太郎のR&B生談義」を配信しており、それが凄く興味深くて面白かったのを覚えています。





真之介 「All My Life」(2011)

真之介(しんのすけ)は関西を中心に活躍するR&Bシンガー。

2006年、安室奈美恵や三浦大知等との仕事で知られるNao'ymtによる伝説のプロジェクト「Nao'ymt wit' -1st Season-」が始動。

才能豊かなR&Bの歌い手達とNao氏がコラボレーションしたこのプロジェクトの一環としてリリースされた「Your Place」が真之介のデビュー作品。

和のテイスト溢れるサウンドに真之介の美声が映える実に風情ある一曲。

この曲のヒットの後、彼もまたSUGAR SHACKに参加、男性R&Bの更なる飛躍を担う存在として活躍していきます。

2012年にリリースされた本曲「All My Life」は自身が作詞・作曲を手がけたR&Bラブバラード。

相変わらずカッコいいですね ! 確か最近新曲もリリースしてた気がします。






JAY'ED 「Shine」(2010)

ニュージーランド生まれのR&Bシンガー「JAY'ED(ジェイド)」

2000年代半ば頃から多くの客演などで活躍、R&B好きの間では知れた存在でしたが、その知名度をさらに上昇させるきっかけになったのは2009年、当時勢いに乗っていたJUJUとのコラボレーション楽曲「明日がくるなら JUJU with JAY'ED」の爆発的ヒット。

他にも同時期のコラボレーション楽曲だとEMI MARIAを客演に迎え入れた名スロージャム「LUV IS... feat.EMI MARIA」も激しく推したい一曲。

その後はそのずば抜けた歌唱力を活かした数々の作品を発表。SUGAR SHACK FAMILYとしても活躍し、日本のR&Bを代表するアーティストの一人となりました。

ハイクオリティなバラードナンバーはもちろん、2ndフルアルバム「Your Voice」収録の爽やかなアップ「Shine」あたりも高い人気を誇る一曲。






Lugz&Jera 「逢いたくて 〜Stay with me〜」(2012)

Lugz&Jera(ラグズ・アンド・ジェラ)は岡山出身のシンガーソングライター。

高い実力を誇るSUGAR SHACK所属のシンガーでありながら、プロデューサー、ソングライター、さらには地元岡山高梁市のふるさと大使として地元文化の発展、発信に尽力する超絶マルチタレント。

爽やかなその出立ちも相まって地元岡山では特にカリスマ的な人気を誇っていますね。

本曲「逢いたくて 〜Stay with me〜」はそんな彼が2012年、「L&J」から現在の活動名に改名後リリースされた1stシングル。

当時のトレンドを思い出さずにはいられないダンサンブルなアップナンバー。

近年も積極的に新譜をリリース。2019年発表の「HEAVEN」あたりもカッコいいですよね。






MICHIYA 「Crazy」(2011)

先述したLEOと共に2004年、4人組コーラスグループ「JOYCE(ジョイス)」としてデビューしたMICHIYA(みちや)。

彼もまた高い歌唱力とダンススキルを併せ持つ強者。

ソロとして発表した楽曲数こそ多くありませんが、後述するSUGAR SHACK FAMILY全員が集結した豪華アルバム「SUGAR SHACK FACTORY」収録の「Crazy」はめちゃくちゃカッコいい ! おすすめです。

余談ですが彼がJOYCEでの活動時に唯一残したシングル「WANNA MAKE YOU SMILE」は現在では入手困難なレア盤。

配信やストリーミングもされていないようなので、パッケージ盤として入手する他ないと思うのですが、以前アマゾンで1万円くらいになってましたよね...






そしてここからはSUGAR SHACKとして発表されたいくつかの作品をご紹介して行きます。




SUGAR SHACK FAMILY 「君がいるなら 〜White Love Song〜」(2010)

SUGAR SHACK FAMILYからFull Of Harmony、LL BROTHERS、三浦大知、HI-D、LEOが参加した超豪華なスペシャル・ウインター・ラブソング。

本当に最高です ! それぞれのヴォーカルの個性が際立ちつつも、サビでは圧倒的なハーモニーを聴かせます。





SUGAR SHACK ALL STARS  「明日の太陽」(2011)

SUGAR SHACK FAMILYそれぞれのソロ曲が収録されたコンピレーションアルバム「SUGAR SHACK FACTORY」のラストを飾る曲がこの「明日の太陽」

メンバー全員が参加した楽曲ということもあり、実にピースフルな大合唱を堪能できるこれまたスペシャルな一曲。




DJ HAL「SUGAR SHACK Official soundz mixed by DJ HAL」(2009)

こちらはDJ HALによるSUGAR SHACKの公式ミックス作品。

約70分に渡るノンストップミックスで、上記「SUGAR SHACK FACTORY」同様SUGAR SHACKを堪能するには打って付けの作品。

是非ドライブのお供に !







今回は以上になります。

こうして振り返ってみるとやはりものすごい豪華なメンバーですよね...

そしてこの時期のJ-R&Bはなんか元気が貰えるような感じがいいですね。

いわゆる「チルめ」な楽曲が流行ってる今だからこそ改めて聴くとめっちゃテンション上がります。


にしても結構長い記事になってしまいました 笑

全2回にする予定だったのですが...笑


最後までご覧いただきありがとうございます。

ではまた次回 !

ご覧いただきありがとうございます。


今回も前回に引き続き楽曲紹介記事になります。

前回は主に安室奈美恵、MAX、SPEED、DA PUMPなど沖縄アクターズスクール出身アーティストが隆盛を誇った90年代中頃から2000年代前半までの楽曲を取り上げました。

CDがかなり売れた時期ということもあり多くの沖縄出身ダンス&ヴォーカルグループがヒットを連発。他の追付いを許さない圧倒的な勢いで音楽シーンを席巻していきましたね。


今回はその続き。


先述した通りビッグヒットを連発した沖縄アクターズスクール勢でしたが、2000年代に入り、R&Bブームが沈静化すると同時にその勢いは少しづつ落ち着いていきます。

実際この頃はMAXやSPEEDも各々の事情でメンバーの一時脱退や解散がありましたので、グループとしても転換期を迎えていたのだと思います。

90年代後半には安室奈美恵さんも結婚や出産がありましたしね。

にしても安室さんの出産からの復帰が早い !

ものすごいタフネスとプロ意識ですよね...


とまあそんなこんなで今回はミュージックシーンが新たな局面へと移行しつつあった2000年代前半から現在に至るまでの記事になります。


周知の事実ですが2000年以降は90年代ほどCDが売れた時期ではありません。その上テン年代以降は配信リリースや音楽ストリーミングサービスも当たり前になってくるので、前回記事ほど爆発的なヒットを飛ばすアーティストが出にくくなっているのが現状ではあります。

しかし、リリーススケジュールや事務所の方針、売り上げなどに縛られない独自の仕方でその才能を大いに発揮しているアーティストが数多くいるのもまた事実。

特に近年の沖縄におけるHIP HOPの隆盛を見れば明らかでしょう。


時代や形は移り変わってもこの地からは絶えず新しい才能が生まれ続けています。


鬼滅の刃で大ブレイク中のLiSAも沖縄アクターズスクール出身ですしね...


最後までご覧頂ければ幸いです。



ORANGE RANGE 「キリキリマイ」(2003)

R&Bブームが過ぎ去り、音楽シーンが新たな局面へと差し掛かっていた2003年。

彗星の如く音楽シーンに登場し瞬く間にブレイクしたのがこのORANGE RANGE。メジャーデビュー時のメンバーはYAMATO、HIROKI、RYO、NAOTO、YOH、KATCHANの沖縄出身6名。

どこかラフな印象を与える佇まいと中毒性のある名曲の数々は当時の若者を熱狂させるのに十分すぎるインパクトを放っていました。

2003年頃は筆者も学生でしたが、周りのクラスメイトたちがめちゃくちゃORANGE RANGEにハマっていて、大半のヒット曲はいつの間にか脳裏に焼き付くという...それくらい当時の彼らが強烈な影響力を持っていたのを覚えています。

ミリオンヒットに迫る売り上げを記録した「花」や、彼らの代名詞とも言える「ロコローション」「上海ハニー」はもちろんですが、この「キリキリマイ」もメジャーデビュー曲に相応しい勢いと熱量に満ちた仕上がりが熱い !





安良城紅(BENI) 「Here Alone」(2004)

高い歌唱力と海外生活を活かした堪能な英語でハイレベルな作品を多数発表した女性シンガー安良城紅(あらしろ べに) アメリカ人の父と沖縄出身の母を持つ。

後に「BENI」に改名、テン年代に入ると国内男性シンガーの楽曲を英詞カヴァーした「COVERS」シリーズが大いにヒットしましたね。

本曲「Here Alone」はそんな彼女がまだデビュー間もない2004年にリリースされたエキゾチックなナンバー。

同じくエキゾチックな魅力を放ったUAやSugar Soulの作品を手がけたことで有名な朝本浩文プロデュースということもありサウンドクオリティもピカイチ。名曲です。

先述のカヴァーアルバムなどBENIに改名後の作品の方が知名度も高い気がしますが、改名前の作品にも良作多し ! 気になる方は是非。




HY 「NAO」(2006)

そのデビューから現在に至るまで、沖縄はもちろん全国的にも高い人気と知名度を誇るご存知沖縄出身バンドHY。

現メンバーは新里英之(Vo&Gt)、名嘉俊(Dr)、許田信介(Ba)、仲宗根泉(Key&Vo)の4名。

シングルリリースを一切せずに絶大な支持を得るスタンダードナンバーをこれほど多く発表しているアーティストもそうそう居ないでしょう。

テン年代以降の配信やストリーミングサービスの台頭で「アルバム作品の軽量化」が指摘される中、非常に貴重な存在と言える気がします。

2006年発表の4thアルバム「Confidence」に収録された「NAO」はゴスペルを大々的に取り入れたナンバー。

純粋な恋心を表現した飾らないリリックをゴスペルクワイヤが引き立てる名曲。

この曲や「366日」もそうですが、HYは結構カラオケ人気も凄いですよね...




多和田えみ 「涙の音」(2009)

多和田えみは2008年にメジャーデビューした沖縄県宜野湾市出身の女性シンガー。一曲毎に違った印象を与える高い表現力のヴォーカルが持ち味で、個性的な楽曲の数々を巧みに歌いこなします。

作詞家、作曲家としても有名で、JUJUやE-girlsなど多くのアーティストに楽曲提供をするなど裏方としてもその才能を多いに発揮しています。

本曲「涙の音」は豪華クリエイターが多く参加した超絶名盤との呼び声高い1stフルアルバム「SINGS」と同時発売された、同アルバムにおけるリードトラック。

シンガーソングライター葛谷葉子が作詞・作曲を手掛けた美メロバラードで、筆者はこの曲聴くと葛谷葉子のヴォーカルが同時に聴こえてくるような感覚になります。

セルフカヴァーしたのも聴いてみたいですよね。





黒木メイサ 「5-FIVE-」(2010)

当時モデルや女優としての活動で既に高い評価を受けていた黒木メイサですが、その歌とダンスも超一級品。彼女もまた沖縄アクターズスクール出身者。筆者も最初モデルさんのイメージが強かったので、彼女の音楽作品を初めて耳にした時は非常に驚きました。純粋にカッコイイです。

彼女の作品に携わるクリエイター陣も実に強力で、三浦大知の作品などで活躍するNao'ymtやMomo"Mocha"N.、U-Key zoneなどいわゆる「ソロで歌って踊れるアーティスト」の作品に欠かせないメンツばかり。

2012年には赤西仁との婚約を発表、出産や育児などもありリリースした作品数こそ多くないものの、彼女の作品はどれも最高にスタイリッシュ。

「アーティスト黒木メイサ」を強く支持するファンは今尚多し。





Sky' The Limit 「ミナミカゼ」 (2017)

2013年に開催された「X FACTOR OKINAWA JAPAN」のグループ部門で初代グランプリを勝ち取り松尾氏プロデュースの元デビューした「Sky's The Limit(スカイズ・ザ・リミット)」

メンバーは沖縄出身の前田秀幸と大城貴史、大阪出身の若江爵紀と山本卓司の4名。

その最大の特徴は4人それぞれがソロパートで圧倒的個性を発揮できる実に多様性のあるヴォーカル。エルトン・ジョンのカヴァー「Sorry Seems To Be The Hardest Word」などを聴いていると、同じく同曲をカヴァーしたこれまた個性的な4人組からなるUKのヴォーカルグループ「Blue」を想起せずにはいられません。

大城さんの美声とかアントニー・コスタにそっくりですよね。美しいです...

本曲「ミナミカゼ」はゴスペラーズの黒沢薫も参加したフルアルバム「Mellow but Funky」に収録された川口大輔作曲の傑作ナンバー。シティポップ、AOR、ジャズ、ゴスペルなど様々なジャンルの良さが活かされたサウンドが極上。






三浦大知 「Be Myself」(2018)

前回記事で紹介した沖縄アクターズスクールの小中学生からなる7人組ダンス&ヴォーカルユニット「Folder」

その活動終了後から4年が経過した2004年。当時から天武の才能を発揮していた三浦大知は更なるパワーアップをして再び表舞台に復帰。その超人的な才能は現在に至るまで進化し続け、決して留まることを知りません。

もちろん彼を支えるサウンドクリエイターたちも相当な強者ばかり。

UTA、Momo"Mocha"N.、AKIRAなど、最高峰のクリエイターが彼の作品を強力にバックアップ。言わずもがなクオリティは破格です。

特に本曲「Be Myself」など数多くの楽曲でその才能を最大限に引き出し続けているNao'ymtとの奇跡的な邂逅は日本の音楽シーンに風穴を空ける最重要事項と言っていいでしょう。

「Who's The Man」「Delete My Memories」「Anchor」「Unlock」「Blizzard」「球体」...

挙げればキリがないですよね...








そしてここからは現在沖縄で隆盛を誇るHIP HOP系アーティストから。

とは言え、沖縄出身のHIP HOPアーティストはかなり沢山いらっしゃるので、チョイスに凄く迷いましたが、やはり歌モノを好む筆者ですのでラップはもちろん歌唱も堪能な筆者お気に入りのアーティストを何組かご紹介していきます。




Yo-sea 「Coconuts」(2020)

以前「オルタナティブR&B」の記事でも登場した沖縄出身のラッパー兼シンガーYo-sea(ヨーシー)

多くのHIP HOP系作品をプロデュースするクリエイターチームBCDMGに所属し、ソロ作品はもちろん、数多くの客演でその名を知らしめる今沖縄で最もクールなアーティスト。

HIP HOPをベースにしつつも、その作品には彼独特の緩やかなムードが漂い、聴き手を幻想的な世界へ誘います。

そんな彼の最新EP「Kujira」のリード曲となる「Coconuts」は前向きなリリックと彼の美声が非常に心地良いスローナンバー。

なんかまた歌上手くなりましたよね...

ファッションセンスや甘いルックスも相まって素直にカッコいいです。惚れますね。





3House 「Familia feat. Yo-sea」(2019)

上記Yo-seaを含む沖縄のアーティスト集団SouthCatから。こちらも優れた作品を発表しているラッパー兼シンガーの3House(スリーハウス)

Yo-seaとの名コラボレーション作品「Dejavu (feat.Yo-sea)」に引き続き再び両者がタッグを組んだ本曲「Familia feat. Yo-sea」ではその相性の良さを再確認。

輪郭を抑えた幻想的な歌声がサウンドに溶け込む3Houseと持ち前の美声を響かせるYo-sea。

似ているようで全く違う二人の歌声。近いような、遠いような、二人の絶妙な距離感がカッコイイです。

美しいMVを撮影したのは同じくSouthCatのkiyora

他にも3Houseの作品だとメロウな質感の「You」が激しくお気に入り。





Awich 「NEBUTA feat.kZm」(2020)

そして最後はこのお方...

史上最高のフィメールラッパーとの呼び声高い現HIP HOPシーンの頂点に君臨するカリスマ「Awich(エイウィッチ) 」

その作風、歌声、佇まいは最高にエキゾチックでドープ。

堪能な英語からなる圧倒的なフロウと歌唱力、禍々しいサウンドプロダクションなど他の追随を許さない作品の数々は中毒性高し !

とにかく濃いいです...

本曲「NEBUTA feat.kZm」は青森ねぶた祭りをHIP HOPに取り入れたナンバー。黒人音楽と日本の伝統芸能を結ぶ実に価値ある一曲。

起業家でもあり、その音楽や知名度を活かした発言力で自身のルーツである沖縄の様々な文化や伝統を世界に発信。

女と男、アンダーグラウンドとオーバーグラウンド、沖縄と世界、いや日本と世界を股に掛ける女神の快進撃はまだ始まったばかりです。







いかがでしたでしょうか?

今回は以上になります。

90年代の沖縄アクターズスクール勢の台頭から近年のHIP HOP隆盛までざっくりご紹介いたしました。

皆様のお気に入りの作品はございましたか?

にしても凄い才能を持ったアーティストがこれほど多く存在しているのに驚きますよね。

やはり沖縄には何か凄い力が働いているのではと思ってしまいます。

最後までご覧いただきありがとうございます。

ではまた次回 !


あけましておめでとうございます。

そして昨年に引き続き当ブログをご覧いただきありがとうございます。

昨年7月にブログを開設して以来、好き勝手に記事を執筆していく中で思いがけない反応を頂けたことや、改めて作品を聴き直す中でその素晴らしさを再確認できることに喜びを感じつつこの半年過ごして参りました。

これからもスローペースですが地道に執筆していきたいと思いますのでよろしくお願い致します。

依然コロナ渦により自粛が必要とされる日常の些細な読み物として機能して頂ければ嬉しい限りです。



さて今回の記事になりますが、久しぶりのオムニバス形式の楽曲紹介記事になります。


テーマは「沖縄」


タイトルからピンときた方も多いかもしれません。


「なぜ唐突に沖縄?」

と思った方も多いかもしれませんが、筆者は沖縄の様々な文化が好きで、本当は昨年末旅行に行きたかったのですがコロナによりあえなく自粛...

沖縄出身のアーティストの曲を聴くことでその分を補っていました。


とは言え、聴いていたのは琉球民謡というよりはこれまでの楽曲紹介の例に漏れず、J-POP、とりわけR&BやHIP HOP系の作品なわけですが...笑



ということで今回は沖縄出身のR&B、HIP HOP系のアーティスト及び楽曲紹介記事になります。

全2回を予定しております。

最後までご覧頂ければ幸いです。








最初に、沖縄出身のアーティストを語る上で外せない要素の一つが、「沖縄アクターズスクール」と「ライジングプロダクション」

「沖縄アクターズスクール」は安室奈美恵や三浦大知などといった国民的アーティストを数多く輩出した言わずと知れた沖縄を代表する芸能養成スクール。

90年代、10歳そこそこくらいの年齢ながら素晴らしい才能を開花させたアーティストが多く輩出されたのも、このスクールがあったからと言えるでしょう。

そしてこの「沖縄アクターズスクール」と当時蜜月状態にあったのが大手芸能事務所「ライジングプロダクション」

そのため沖縄アクターズスクールで実力を磨いた生徒がライジングプロダクションからプロデビューするという構図が90年代から2000年頃まで続いていたんですね。

日本のポップミュージック史を語る上でスルー厳禁の極めて重要なファクターです。

今回紹介するアーティストもその多くがこのスクール及び芸能プロダクション出身者になります。



GWINKO 「よくばりなウィークエンド」(1990)

GWINKO(ギンコ)は1987年「STAR SHIP-I'm going high-」でデビューした沖縄アクターズスクール第一期生。90年代半ば頃から隆盛を誇る同スクールにおける草分け的存在ですね。

そのスタイルは80年代を代表するファンキーな楽曲から、90年代にかけて爆発的に普及するニュー・ジャック・スウィングなども手広く押さえたダンス&ヴォーカル。

日本でR&Bがブームになる10年以上前の時点で、ここまで本格的に本場のダンスやサウンドを取り入れた音楽性は当時非常に稀有かつ挑戦的。

本曲「よくばりなウィークエンド」は筆者が彼女を知るきっかけになった最初の作品なのですが、この曲の映像をはじめて観た時その本格的なダンス、跳躍感のある歌唱に非常に驚きました。現在でもYoutubeで視聴可能なので気になる方は是非。






安室奈美恵 「SWEET 19 BLUES」(1996)

もはや説明不要。日本ポップミュージック史を語る上で絶対外せない永遠のカリスマ。その影響力は音楽だけにとどまらず、そのファッション、生き方全てが憧れでした。

2018年の引退まで、第一線で活躍し続けたその姿に多くのリスナーが勇気や感動を貰ったことと思います。

SUPER MONKY'S時代、小室哲哉プロデュース時代、GIANT SWINGやnao'ymtとのR&B、HIP HOP時代、テン年代以降の海外クリエイターとの共作時代...

どこを切り取っても名曲だらけ。当ブログをご覧になられている皆様も、きっとそれぞれに思い入れのある楽曲があることでしょう。

個人的にはR&BやHIP-HOPに傾倒していた時期が好きですが、時系列的に紹介しているのでとりあえず初期作品から単体で選ぶならこの曲かな...ということで「SWEET 19 BLUES」

ベタ過ぎますけど...笑






MAX 「一緒に・・・」(1999)

安室奈美恵、SPEEDと並び90年代の沖縄アクターズスクール隆盛の中核を担ったMAX。安室奈美恵を含む5人組ユニット「SUPER MONKEY'S」の安室以外のメンバーであるNANA、MINA、LINA、REINAの4名からなる女性ユニット。

メンバーの脱退や新メンバーAKIの一時加入など多くの困難を乗り越えながらも2021年現在オリジナルメンバーでの活動を継続。長続きしにくいヴォーカルグループという形態の中で、20年以上の間キャリアを積んできたこの事実は何にも変え難い価値があるように思います。

デビュー当時はメンバー全員10代でしたが、同時期に妹分のSPEEDが活動していたこともあり非常に大人びた印象がありましたね。みなさんほんと容姿端麗 !

良質な楽曲群も相まってこちらもヒットを連発。90年代を代表するガールズグループになりました。

1999年発表の15thシングルである本曲「一緒に・・・」は彼女らを代表するウインターソング。昨年12月に「一緒に・・・(Happiness 2020)」としてセルフリメイクされました。






SPEED 「BODY & SOUL」(1996)

上記MAX同様沖縄アクターズスクール出身の新垣仁絵、上原多香子、今井絵理子、島袋寛子からなる4人組ダンス&ヴォーカルグループ「SPEED」

当時、というよりこれまでの日本の音楽シーンを見返してみても、これほど完成度の高いローティーンガールズグループは他にいなかったように思います。ブラックミュージックを巧みに取り入れたサウンド、若さを全面に押し出した超絶キレッキレのダンス、ハイレベルな歌唱...どれをとってもデビュー当時平均年齢12~13歳とは思えない仕上がりに脱帽必至。ハイクオリティ過ぎる...

それと同時に可愛らしいアイドルとしての側面がその人気をさらに加速させヒットを連発、一躍時の人状態でしたね...というか元々はアイドルか...笑

解散後は再結成もありましたが現在はグループでの活動はしていない模様。その後もメンバーそれぞれがまさしく紆余曲折と言える人生を歩みますが、発表した素晴らしい作品の数々はもはや伝説。この先彼女らを超えるローティーングループは一体どれだけ現れるだろうか...






Folder 「NOW AND FOREVER」(1997)

そして同じ沖縄アクターズスクール出身アーティストである上記SPEEDよりさらに若い、当時小、中学生だったメンバーで構成されていたグループがこちらのFolder(フォルダ)

デビュー当時若干10歳というメンバー最年少ながら大人顔負けの歌唱力とダンスを見せつけるDAICHI(現 三浦大知)に加え、後に女優として活躍するHIKARI(現 満島ひかり)などを含む7人組男女混合ダンス&ヴォーカルグループ。

声変わり前のDAICHIをメインヴォーカルに据えた数々の楽曲たちは、ボーイソプラノをハイクオリティで実現した貴重な音源として知られています。若きマイケルともよく言われますよね。

本曲「NOW AND FOREVER」は宇宙船的なPVが印象的なスムースR&Bミディアム。

この時点でここまで歌って踊れるのに、この後さらに進化し続けますからね...凄すぎる...

後に男性メンバーであるDAICHIとJOE以外の女性メンバー5名からなるFolder5が結成、ONE PIECEの主題歌を担当するなど2002年頃まで活躍しました。






DA PUMP  「Rhapsody in Blue」(1998)

先述した安室奈美恵、MAX、SPEEDらの活躍もあり、音楽シーンが女性R&B系アーティストで溢れかえっていた90年代後半。卓越した歌唱力とダンスを持つISSAを筆頭に瞬く間に知名度を上昇させた男性ダンス&ヴォーカルグループがこのDA PUMPでした。初期メンバーは上記のISSAに加えSHINOBU、 YUKINARI、KENの4名。こちらももちろん沖縄アクターズスクール出身...←ほんと多いな ! 笑

上記MAX同様メンバーチェンジを経ながらも地道な活動を継続、2018年にはご存知「U.S.A.」で第二次ブレイクと言える活躍を見せお茶の間を席巻。紅白の舞台にも大々的なカムバックを果たしました。これもひとえに第一線で活動し続けたISSAの圧倒的カリスマ性と、途中から加入した強力な新メンバーたちの弛まぬ努力の結果と言えるでしょう。カッコイイです。

ちなみに本曲「Rhapsody in Blue」は1998年にリリースされた5thシングル。SMAPの1996年のヒットナンバー「青いイナズマ」に通じるサウンドプロダクションとダンスがクールな仕上がりでお気に入り。






知念里奈 「precious delicious」(1998)

ダンス&ヴォーカルグループを多く輩出した当時の沖縄アクターズスクール勢の中でも、安室奈美恵と同様ソロシンガーとして活躍した知念里奈。

2000年代以降はミュージカル女優として活躍されているイメージの方が強いかと思いますが、久保こーじ氏プロデュースの元1996年に歌手デビュー。大活躍した同郷の沖縄勢に劣らない作品の数々を発表しました。

小室哲哉氏とユニットを組んでいた経歴を持つ久保氏プロデュースということもあり、本曲「precious delicious」は小室色強い音使いが印象的なナンバー。

サウンドはもちろん、少し背伸びしたリリックなどまさしくザ・90年代の仕上がり。

懐かしいですね。






池間アカネ 「熱帯夜」(2000)

1999年にデビューした石垣島出身の女性シンガー池間アカネ。後に「クイヌパナ」「PANA」などに改名。ナオトインティライミの奥さんとしても知られています。

ダンス・インストラクターやヴォイストレーナーとしての経験もあるらしくその実力は折り紙付き。同世代のMISIAや小柳ゆき、SILVAあたりを彷彿とさせるパワフルかつソウルフルな歌唱が特徴的で、今回紹介している沖縄勢の中でも特に高い歌唱力を持つ超実力派。

本曲「熱帯夜」はアルバム未収録ながらエキゾチックなグルーヴに陶酔必至の名曲。

他にもデビュー曲「biru pulau ~青い島~」やダンス☆マンプロデュースによるクイヌパナ名義の「WHITE」など名曲多し !

作品によっては結構高値がついていたり、市場でもあまり見かけなくなってきている気がしますね。

個人的に凄く好きなアーティストです。






bkoz 「真冬の魚」(2002)

bkoz(ビコーズ)は神戸出身のkosuke(上新功祐)とマレーシア生まれ、オーストラリア育ちのbenher(ベンハー)からなる実力派男性ヴォーカルデュオ。

両者とも沖縄出身ではありませんが、デビューシングル「南の島」など沖縄愛を強く感じる楽曲の数々は非常に滋味に満ちており聴き心地は抜群。

本曲「真冬の魚」はそんな彼らのレパートリーの中で最もメジャー感のあるR&Bミディアムバラード。真冬の寒空を連想させる美しいサウンドに彼ら独特の節回しが切なさを倍増させる名曲。

R&Bが内包するメロウな世界観と沖縄特有の今で言う「チル」めな質感を同時に味わえる1stアルバム「v!be」は必聴 !

ちなみにkosukeは現在、上新功祐名義でソロ作品もコンスタントに発表しています。気になる方は是非。






いかがでしたでしょうか?

今回は以上になります。

やはり90年代の沖縄出身ダンス&ヴォーカルグループは凄いですよね...

いつの時代も強力な若手が台頭する度に音楽シーンの進化を感じますが、この当時は特に若年のアーティストが多く、いかに90年代が勢いのある時代だったかを思い知らされます。


次回は後編になります。


最後までご覧いただきありがとうございます。


ではまた次回 !



ご覧いただきありがとうございます。

今回もSkoop On Somebodyの作品紹介記事になります。

前回はSKOOPからSkoop On Somebody(S.O.S.)に改名してすぐの作品を紹介していきました。「eternal snow」「潮騒」などといった実に挑戦的な楽曲はもちろん、彼らの名刺代わりにもなりうる「sha la la」などブラックミュージックの枠にとらわれないバラエティに富んだ楽曲群が一般知名度を底上げした時期でもありましたね。小林夏海氏、西平彰氏などの外部クリエイターのご活躍にも目を見張るものがありました。

今回はその続き。2002~2004年頃の作品になります。

正直2000~2005年くらいまで一気に紹介してもよかったのですが、ここまで刻むのには理由が二つありまして...

というのも、やはりこの時期の彼らは作品リリースサイクルが異常に早く、驚異的なペースで名曲を量産しているため、とてもじゃないが一回の記事では難しいというのがひとつ(これ以降もかなりハイペースですが...)

もう一つは、今回取り上げる2002~2004という時期は散々このブログでも紹介させていただいた松尾潔氏プロデュースの時期であるということ。

セルフ・コンテインド・バンドとして自分たちだけで制作から実演までこなす彼らが、2~3年の間同一のプロデューサーと制作を共にしたのは松尾氏くらいかと思います。

ということで今回も半分くらい松尾氏の記事になります 笑 

にしてもこの時期の松尾氏の仕事量が半端じゃない...ほんと過労死するんじゃないかってくらいです...

2000~2001年あたりにかけて平井堅、葛谷葉子それぞれフルアルバム2枚。2001~2003年にかけてCHEMISTRYのフルアルバム2枚とリミックスアルバム1枚。他にも川口大輔やsoweluの発掘及びプロデュースなどなど...

S.O.S.以外にもここまで多くのアーティストと仕事をしていたのがほんと驚きです。

ここでポイントになるのが、松尾氏が当時手掛けたアーティストの中でもS.O.S.がとりわけブラックネスが強いということ。

デビューから4~5年目でR&Bに路線変更し成功した平井堅、元からR&B系デュオとして誕生したCHEMISTRYなど、R&Bブームに上手く迎合する形でヒットするアーティストは多くいたものの、S.O.S.の場合はその逆と言っていいでしょう。

活動初期からディープ過ぎたんですよね...笑 

ディープ過ぎて売れ上げが伸び悩むという...

そのため、S.O.S.に改名後はむしろその本格的なブラックネスを上手く中和させることでヒットするという世の潮流とは逆行する形で注目を浴びることになります。

S.O.S.がR&Bと歌謡曲のハイブリッドを得意とする松尾氏とタッグを組んだのも納得ですよね。


それでは以下楽曲紹介。

最後までご覧いただければ幸いです。





「a tomorrowsong」(2002)

15thシングル。朗らかで心地良いサウンドとは対照的に、リリックはやけに切なく内省的な内容。このギャップが良い意味でたまらない一曲。松尾氏が作詞で参加、加えてサウンドにはヒットナンバーの「sha la la」ライブ定番の「around the world」などを手掛けたFace 2 fakeが参加しているのがポイント。


「over there Feat.JiN」(2002)

以前松尾氏の記事でも紹介させて頂いた韓国生まれ大阪育ちのシンガー兼ラッパーのJINが客演として参加したナンバー。JINはその後S.O.S.はもちろん多くのR&B系アーティストの楽曲を手掛けるプロデューサーとしても活躍する実力派。

この曲に関してはやはりJINのラップがいい味を出していますね。




「Tears of JOY」(2002)

松尾氏が初めて一からプロデュースした深い夜に聴きたい徹頭徹尾重厚なメロウナンバー。メロウかつ情熱的というS.O.S.のイメージにぴったりな曲とも言える気がします。後にLDH所属の男性デュオBREATHEがカヴァーした曲でもあります。このクオリティをカヴァーするの大変そうです...


「a tomorrowsong (Club S.O.S. Version)」(2002)

S.O.S.に改名後、しばしばカップリングに既存曲の「Club S.O.S Version(アコースティックアレンジ)」を収録していた彼らですが、中でも筆者のお気に入りはこちら。

先述したように原曲は朗らかなサウンドと切ないリリックのギャップが印象的な一曲でしたが、こちらはアコースティックサウンドと新たなヴォーカルアレンジにより切なさ倍増、ソウルフルな仕上がりに。原曲と聴き比べてみるのをお勧めします。




「ぼくが地球を救う ~Sounds Of Spirit~」(2002)

「sha la la」同様高い知名度を誇るヒットナンバー。S.O.S.史上最もキャッチーかつ快活な曲と言っても過言ではないでしょう。落ちサビからラスサビへと移行する際の開放感たるや最高 !

音楽界の重鎮鷺巣詩郎氏が編曲で参加しているのも大きなポイント。CHEMISTRYの時もそうですが、松尾氏をプロデューサーに迎えるとしばしば鷺巣氏も参加してくれる時が結構ありますよね 笑 羨ましいですよね 笑


「LAST SUMMER」(2002)

初期SKOOPの代表曲「Nice'n Slow」のカップリングに収録された「いつまでも~Forever & A Day~」(1997)以来のレゲエ風のナンバー。

いつにも増して肩肘張らないリラックスムードが夏のビーチを連想させます。





「Save Our Souls」(2002)

そしてこちら。S.O.S.と松尾氏によって生み出された5thアルバムにしてS.O.S.屈指のマスターピースとの呼び声高い超絶名盤。

特徴はというと、前作のオリジナルフルアルバム「Key of Love」(2001)では抑えめにされていた濃いいR&Bナンバーが目白押しという点。

そのため、先述した「ぼくが地球を救う ~Sounds Of Spirit~」のようなとびきりキャッチーな曲が収録されている反面、初期SKOOPを彷彿とさせるエロエロなセクシーナンバーが多数収録されているので初期からのファンはもちろん、S.O.S.に改名後からのファンも楽しめること間違いなしです。



以下収録曲から抜粋してご紹介



「Two of A Kind meets CHEMISTRY」

以前松尾氏の記事でも紹介した筆者お気に入りの一曲。S.O.S.、CHEMISTRY、松尾氏、エンジニアの川本ゴン太氏 !最高の布陣 !間違いないです ! S.O.S.、CHEMISTRYの掛け合いが最高にカッコイイ ! TAKEのヴォーカルもいつにも増してソウルフルに聴こえます。


「On the Red Carpet」

S.O.S.らしいアダルトなセクシーナンバー。作詞は松尾氏ですが、知名度の高い松尾氏のヒットナンバーからは想像できない実にテクニカルなリリックがサウンドと絶妙にマッチしています。アドリブ以外英語詞は一切なく、全て日本語詞とは思えない仕上がりが秀逸。


「Long for You」

「恋愛の教祖」との呼び声高い古内東子氏を作詞に迎えたナンバー。メンバーのKO-HEYが発起人となって制作した曲でもあるようです。

男性が普段なかなか見せることのできない繊細な心情を表現したリリックに感情移入しちゃいますよね。


「これは恋じゃない」

こちらはKO-ICHIROがメインで手掛けためちゃくちゃ切ないメロウなスロージャム。揺れ動く登場人物たちの心情とは対照的に、情景描写が妙に生々しいんですよね...好きですけど 笑


「A Streetcar Called Desire」

ノリがいいエレクトロファンクナンバー。こういう曲はアルバムのアクセントとして機能しそうな曲ですが、このアルバムではむしろかなり聴きやすい感じがするのが不思議です。

収録曲がどれもいい意味で個性的すぎるんですよね 笑


「Save Our Souls」

「Where do we go」「Key of Love」などを彷彿とさせる力強い決意がにじみ出たアルバム表題曲。筆者が運転中にこの曲流すと、よく同乗者が「この曲いいね」って言ってくれることが多いように思います。


「8.13~Anniversary~」

TAKEがメインで制作した楽曲。タイトルの8.13はTAKEの誕生日らしく、「記念日」をテーマに愛を貫く登場人物の心情が表現されたリリックが印象的。





「Sounds Of Snow」(2002)

こちらはタイトル通り「冬」をテーマにした曲だけで構成されたウインターアルバム。

特筆すべきはS.O.S.を代表するウインターソングである「eternal snow」や前回記事で紹介したバラードアルバム「Nice'n Slow Jam」唯一の新曲「Let it Snow」さらには後にセルフカヴァーするCHEMISTRYへ提供し大ヒットした冬の名曲「My Gift to You」などは一切収録されず、ほぼ新曲で構成されているという点。

こういう企画版はしばしば存在しますが、ここまで既存曲に頼らず新録曲で固められた企画版は珍しいと思います。S.O.S.、そして松尾氏の情熱やサービス精神を強く感じます。これは本当に凄いです。



以下収録曲から抜粋してご紹介



「星なき聖夜は ~There's No Christmas without You~」

TAKEのソウルフルな歌唱とゲストのゴスペルクワイヤを最大限に活かした超豪華なクリスマス・ゴスペル・ナンバー。「Everlasting Love」「祈り」に通じるスケールの大きさで鳥肌モノの仕上がりです。必聴 !


「Sounds Of Snow」

アルバム表題曲。一曲目の上記「星なき聖夜は ~There's No Christmas without You~」がソウルフルで神聖さを意識した仕上がりだったのに対し、こちらはむしろ日常的なミニマムさを意識した暖かみのある一曲。ラストの吐息がかったフェイクも実に心地良いです。


「夏よりも熱い冬 ~Winter Boogie~」

ブギーというだけあって懐かしのシティポップを思わせる都会的なアップ。

第二次シティポップブームを迎えて久しい今だからこそ聴きたい一曲。


「Joy & Happiness」

静かに降り頻る雪を思わせるサウンドが静寂さを演出するスローバラッド。


「This Christmas」

「eternal snow」のカップリングに収録された曲の新バージョン。言わずと知れたダニー・ハサウェイのカヴァー曲。「Ooo, baby, baby」もそうですが、S.O.S.の洋楽カヴァーいいですよね。


「春が来るまでに」

前回記事で多く登場した小林夏海氏が作詞を手掛けた一曲。叙情的なピアノ伴奏と涙腺を刺激するリリックが切ない一曲。S.O.S.×小林夏海氏のレパートリーはどれも日本語ならではの説得力を感じます。





「抱きしめて」(2003)

S.O.S.が元来持ち合わせるブラックネスと歌謡曲の究極の融合。終盤に向かうにつれて徐々に増えていく音数と、TAKEの熱い歌唱にいつも持ってかれます。まるで壮大な映画のような仕上がりに脱帽。名曲です。


「My Gift to You」(2003)

CHEMISTRYに提供しヒットした曲のセルフカヴァー。

とびきりスウィートかつハートフルな世界観がたまらないです。S.O.S.ならではのバンド感溢れるアレンジも聴き応え抜群。こちらも後に男性デュオBREATHEがカヴァーしています。


「This New Morning」(2003)

後にアルバムにも収録される爽やかなアップナンバー。





「Singles 2002~1997」(2003)

S.O.S.初のベスト盤にして名盤。1stシングル「No Maka de On The Bed」から「ぼくが地球を救う ~Sounds Of Spirit~」までの全シングルを網羅した内容。内容は言うまでもなく素晴らしいですが、やはり個人的な目玉は松尾氏による全曲解説のライナーノーツ。やっぱりライナーノーツっていいですよね。






「Sing a Song」(2003)

19thシングル。CHEMISTRYの初期楽曲でも多大な功績を残したYANAGIMANが編曲を手掛けた楽曲。

YANAGIMANの手腕が活かされた雑味の一切ない奥行きあるサウンドが心地良いです。KO-ICHIRO、KO-HEYのソロ歌唱パートがあるのもポイント。


「wanna, wanna, wanna」(2003)

初期SKOOPを彷彿とさせるセクシーな一曲。やはりS.O.S.には定期的にこういうパフュームミュージックを期待してしまうのは筆者だけではないハズ 笑 アルバム未収録。






「琥珀の月」(2003)

畳み掛けるような切迫感が特徴のナンバー。かの「潮騒」を思い起こさずにはいられない情熱的な世界観が印象的。「Everlasting Love」などS.O.S.の楽曲にはしばしば「琥珀」というワードが登場するような気がします。

また、4曲目には本曲の別バージョン「琥珀の月 (Spanish Passion)」が収録されており、こちらもお気に入り。


「CRAZY LOVE」(2003)

TAKEが作詞・作曲を手掛けたR&Bミディアム。先述した「over there」でコラボしたJINが今回もラップを担当。こちらもアルバム未収録であり、隠れた名曲と言ってもいいかもしれません。






「HELLOW MELLOW」(2004)

前回のオリジナル・アルバム「Save Our Souls」同様松尾氏がトータルプロデュースを手掛けた6thアルバム。ストリングスや女性コーラスの効果により全体を通して高級感のある仕上がりとなった本作は、それまでのアーバンテイストなアルバムとは一線を画すどこか品のある質感。また、セクシーなアダルトナンバーを残しつつも、特に目を引くのはアルバム後半に配置されたとにかく強力なラブバラッド群。

この作品でS.O.S.×松尾氏によるひとつの完成形を見た気がします。



以下収録曲から抜粋してご紹介



「Oh Yeah!」

アルバムの幕開けを飾るにふさわしいライブ感満載のグルービィファンク。SKOOP時代を思わせるサウンドながら、若干早めのBPMと歯切れの良さによって奇跡的なバランスを保った一曲。一曲目から贅沢 ! 


「Smile Again (Album Version)」

個別で紹介はしませんでしたが、こちらは21thシングル。冬の凍えるような寒さを感じずにはいられないウインターソングであると同時に、極めてハートウォーミングでもある優しさ溢れるバラッド。


「Through The Night」

疾走感溢れるトラックにストリングスや女性コーラスが加わったドラマチックなハウス調のナンバー。1組の男女の走り出した恋心を実に上手く表現しています。S.O.S.のレパートリーでは結構珍しいタイプの楽曲な気がします。


「Butterfly」

登場人物のやるせない心情が伝わる切ないリリックながらも、聴き心地はすこぶる良い浮遊感のあるスロー。TAKEのヴォーカルが優しくサウンドに溶け込んでいきます。そのまま眠ってしまいたくなりますね。


「もうひとつの結末」

EXILEのレコード大賞受賞曲「Ti Amo」を彷彿とさせるラテン系のR&B歌謡。

優しくも情熱的な性は、痛み無しの結末を許しはしないんですね...

にしてもこういう世界観のリリックとラテン系サウンドはほんと相性良いですよね。


「if...and if」

松尾氏が手掛けた主人公の大きな愛を感じるリリック、S.O.S.のメンバー3人による神聖とも言えるコーラスが聴き応え抜群の一曲。同じくアルバム終盤に待ち構える強力なシングル曲「抱きしめて」「My Gift to You」に劣らない力強いラブソング。






いかがでしたでしょうか?

今回は以上になります。

S.O.S.と松尾氏による名曲の数々...結構知ってる曲もあったのではないでしょうか?

特に「Save Our Souls」「Singles 2002~1997」辺りは非常に人気があるので、未聴の方は是非アルバムを通して聴いてみることをお勧めします。

そしてS.O.S.特集も結構長くなってきましたので、一旦次回は別の記事にしようかと考えておりました。

まだキャリアの半分もいってないですからね...笑

もちろんS.O.S.の続きはいずれまた執筆します。


最後までご覧いただきありがとうございます。


ではまた次回 !

ご覧いただきありがとうございます。

前回はSKOOPのデビュー時から99年頃までの作品を紹介させていただきました。

売り上げ的には振るわなっかたものの、どれも素晴らしい作品でしたね。

そんな彼らはアルバム「Where do we go」の発表の後、2000年からアーティスト名を「Skoop On Somebody(略してS.O.S.)」に改名。より幅広い視野を持った活動を展開していきます。

その特徴としてはやはり、ポップミュージックシーンでも受け入れられやすい歌謡的成分の吸収。

セルフ・コンテインド・バンドとしての特性を活かし、自分たちだけでデビュー当時から非常にコアなR&Bを実践していた彼らですが、改名後は積極的に外部のプロデューサーやクリエイターを招き入れることでよりその支持層を拡大。売り上げ的にも徐々にその数字を伸ばしていきます。

これはデビュー当時から高い実力を誇る彼らに、更なる強力な武器が装備されたようなもので、この頃の彼らは超絶ハイクオリティな作品の数々をかなりのハイペースでリリースしていきます。

当時はそれくらいのリリースサイクルが当たり前だったのかもしれませんが、にしても凄いです...

ということで今回は「Skoop On Somebody」に改名後の2000年から2001年頃までの作品を紹介させて頂きます。(2回目で2001年までって、どんだけ刻むんだって感じですが...笑)

この時期は特に西平彰氏のサウンドプロダクションと小林夏海氏のリリックが非常にいい味を出しており、それに伴って多くの名曲が発表されました。

最後までご覧いただければ幸いです。



「ama-oto」(2000)

沢田研二氏の盟友として知られる西平彰氏をサウンドプロデュースに迎えた「Skoop On Somebody」に改名後初のシングル。

雨を象徴する湿っぽいサウンドの中、悶々とした男の性を実に上手く表現した楽曲。先述したように徐々に歌謡的成分を取り込んでいく彼らですが、同時に元々得意とするブラックネスも更に深化。名曲です。

男性デュオCHEMISTRYがデビュー以前にオーディションで歌唱した曲として有名で、S.O.S.とCHEMISTRY両者のファンである筆者もこの曲をよく練習していました 笑


「if」(2000)

こちらは後にバラード・アルバム「Nice'n Slow Jam」に「if (new mix)」としても収録されるカップリング。

いつになく線の細い表現で魅せるTAKEのヴォーカルが印象的で、女性アーティストが歌っても様になりそうな一曲。




「線香花火」(2000)

10thシングル。こちらも「ama-oto」同様編曲に西平彰氏を起用。夏の夜を思わせる美しいサウンドと、恋愛における刹那的要素を線香花火に見立てたリリックに思わずうっとりですね。


「STAND!」(2000)

そしてこちらは筆者が特にお気に入りのR&Bファン必聴の一曲。USR&Bコーラスグループを想起せずにはいられない仕上がりで、チキチキビートとコーラスが効いたコテコテのR&Bナンバー。その後再録もされていないようなので、S.O.S.の隠れた名曲と言ってもいいかもしれません。




「eternal snow」(2000)

S.O.S.を代表するウインターソングにして実にテクニカルな意欲作。そして同時に超絶傑作 !上記「STAND!」同様変則ビートによる複雑なリズムが特徴で、雪の結晶を彷彿とさせる煌びやかなサウンドがたまらないです。心暖まるリリックを巧みに表現するTAKEのヴォーカルも最高ですね。




「Still」(2001)

後に「潮騒」「sha la la」などでも素晴らしい詩を提供していただく小林夏海氏を作詞家として迎え入れたナンバー。奥行きあるサウンドとTAKEの情感溢れるヴォーカルに涙腺崩壊必至の一曲。カップリング収録の別バージョン「Still (unplugged)」も荘厳な仕上がりでお気に入り。


「Soul'n' Roll」(2001)

そしてこちらはフェンダーローズが終始心地良いお得意のセクシーメロウナンバー。やっぱりS.O.S.のこういう曲聴くとなんか安心するんですよね 笑 




「Key of Love」(2001)

Skoop On Somebodyに改名後、満を持して発表された4thアルバム。元来のブラックネスを残しつつも歌謡的成分を吸収することで誕生したバラエティに富んだ楽曲群が功を奏し、見事オリコンチャート10位を記録。また、イントロを含む15曲収録の中、実に6曲の作詞を小林夏海氏が手掛けているのがポイント。ほんと素晴らしい作詞家さんですね。



以下数曲抜粋してご紹介


「around the world」

初期EXILEのサウンドプロデュースで有名な「Face 2 fake」が手掛けた楽曲。ライブでも定番の疾走感溢れるアップナンバーで、TAKEが片手にタンバリンを持ちながら歌唱する姿が印象的。筆者も好きで今でもよく聴いています。


「Summer Ride」

小林夏海氏作詞のどこか懐かしさを感じるシティポップテイストの一曲。穏やかな夏の風を感じます。


「Key of Love」

アルバム表題曲にしてハートフルなウェディングソング。実際に結婚式でこの曲使用した方も多いのではないでしょうか。後のセルフライナーノーツによると、終盤のクワイヤはレコード会社と事務所のスタッフが担当したようです。


「Sunset, Side Seat」

こちらも小林夏海氏が作詞を手掛けた切なさ溢れる楽曲。「サイドシート」というワードからも、どこか上記の「Summer Ride」とストーリー的に関連性があるのではないかと思ってしまいますね。個人的に本アルバムでもお気に入りの楽曲。


「予感 (S.O.S feat. Akiko Kohara)」

シンガーソングライター小原明子氏とのデュエットが聴き応え抜群の一曲。S.O.S.が女性アーティストと本格的にコラボレーションしたのはこの曲が初めてな気がします。(以前にもRemixやコーラスでは葛谷葉子や嶋野百恵とコラボレーションしている)


「M.F.S.B」

アルバムラストを飾るに相応しいゴスペルナンバー。KO-ICHIRO、KO-HEYのソロ歌唱パートがあるなど、和気藹々とした雰囲気の中、終盤まで熱量が上がり続ける大合唱が実にピースフル。「Nice'n Slow Jam 15years Limited」にて「M.F.S.B (Mellow Flavor)」としてリメイクされます。こちらも必聴 !




「潮騒」(2001)

そしてこの曲。怒涛の展開、圧倒的なヴォーカル、情念迸るリリック...

全てにおいて圧巻の仕上がりと言っていい13thシングルがこちらの「潮騒」

様々なタイプの楽曲をリリースしているS.O.S.ですが、やはりこの曲の存在感たるや...って感じです...

実に歌謡的であると同時に、これでもかという程黒い...S.O.S.にしか成せない曲であるとつくづく思います。カッコいいです。


「Ooo, baby, baby」

R&Bの古典として名高いスモーキー・ロビンソン&ミラクルズの名曲カヴァー。

CHEMISTRYもライブでカヴァーしてましたよね。



「sha la la」(2001)

S.O.S.を語る上で外せない、抜群の知名度と人気を誇る曲がこちら。もはや言わずもがなですね。筆者も大好きな曲です。また、それと同時に小林夏海氏を代表する作品でもあります。

これまでに「sha la la (club S.O.S. Version)」や「sha la la (Mellow Flavor)」など複数のバージョンが存在しています。

2017年にはメジャーデビュー20周年を記念して、超豪華なゲストを迎えた「sha la la (20years Anniversary Ver.)」がYoutubeにアップされました。

現在でも視聴可能なので未聴の方は是非 !  


「束縛」(2001)

こちらは「sha la la」と打って変わって爽やかさゼロの粘着質な内容のR&Bナンバー。

これが思いのほか良質な仕上がりで、個人的にA面にしてもいいくらいな気がします。

サウンドもかっこいいんですよね。



「Nice'n Slow Jam」(2001)

上記のヒットシングル「潮騒」「sha la la」に加えて、新曲「Let it snow」そして既存曲のリメイクバージョンが収録された傑作バラード・アルバム。こちらもヒットを記録しました。

セルフリメイクされた既存曲のクオリティが高い上、効果的なinterludeの導入や、練られた曲順によってバラード・アルバムでありながら間延びすることは一切なく、メリハリある聴き応えを実現。是非アルバムを通して聴いていただくことをお勧めします。


以下数曲抜粋してご紹介


「Nice'n Slow (S.O.S. edition)」

前回記事でも登場したS.O.S.を代表する曲のリメイクバージョン。よりスローなアレンジがメロウさを引き立てます。これぞS.O.S. !! 間違いないです ! !


「Amanogawa (S.O.S. edition)」

重厚なアレンジで蘇ったバラード仕様の「Amanogawa」

歌詞が一層染みますね。


「Let it snow」

本アルバム唯一の新曲。「eternal snow」とは大きく毛色の異なるウインターソングで、どこか可愛らしい音使いが特徴的。ほっこりしますね。


「Everlasting Love (S.O.S. edition)」S.O.S.featuring John P.Kee

SKOOP時代の名ゴスペルナンバーをジョン・P・キーと共にリメイクした9分を超える大作。

ジョン・P・キーとTAKEの掛け合いが凄すぎて...圧巻です...







今回は以上になります。

いかがでしたでしょうか?

名曲だらけですね。特にこの時期は知名度も上がり始めていた時期なだけに、S.O.S.を代表する曲が多いように思います。

にしても2000年の改名から2年の間にこれだけリリースしているのだから驚きです。

本当は今回の回で2004年くらいまでは紹介したかったのですが...笑

気長にお付き合いいただければ幸いです。

ご覧いただきありがとうございました。



ではまた次回 !

ご覧いただきありがとうございます。

今回は楽曲紹介記事になります。

取り上げるアーティストはSKOOP(現Skoop On Somebody)

これまでもしばしば本ブログにて紹介させて頂いているので、常連感が出ていますが、本格的に取り上げるのは今回が初になりますね。

というのも、以前松尾潔さんの作品を紹介する記事を執筆した際に、思いのほか反響があり、中でも多かったのがSkoop On Somebodyファンの方々がインスタなどで反応をくれたこと。喜ばしいことにもっと掘り下げてほしいといったお声もいただき、この度執筆する運びとなりました。ありがとうございます。

僕自身凄く好きなアーティストでありますので、楽しみながら執筆していきたいと思います。

最後までご覧いただければ幸いです。(今回はまたシリーズっぽくなるので長くなりそうですが 笑)




SKOOP(現Skoop On Somebody)はVo.TAKE、Key.KO-ICHIRO、Dr.KO-HEYの3名からなるR&Bバンド。1995年に結成し、1997年にメジャーデビュー。

その後2000年に現在の活動名「Skoop On Somebody(通称S.O.S.)」に改名。

2011年にDr.KO-HEYが脱退し二人体制になりますが、デビューから20年以上経つ現在も精力的に活動されています。


特筆すべきは彼らが「セルフ・コンテインド・バンド(作詞・作曲・歌・演奏などをほとんど自分たちだけで実践するバンド)」であるという点。

当時の海外R&B系のアーティストを想起してみると、プロデューサー主導によるプロジェクトが多く、類稀なる歌唱力はあっても演奏やソングライティングまで自分たちでこなせるアーティストはそう多くはなかったように思います。

ましてやSKOOPがデビューした当時の日本では、まだ宇多田ヒカルやMISIAらもデビューしてないですからね...R&Bを標榜するアーティストや作家さんもかなり少なかったと思います。

そんな時代に自分たちだけでこれだけの作品を産み出していたのだから驚きですよね...

彼らが日本におけるR&B、ネオソウル(ニュークラシックソウル)の草分けと言われる由縁ですね。

そして自分たちであらゆる作業が出来るというこの強みは、ほぼメンバー3人のみで行うアコースティックスタイルの「club SOS」の実現はもちろん、KO-ICHIROのピアノをフルに生かした2006年のオリジナルアルバム「Pianoforte」の発表も可能にしました。

しかも曲によってはKO-ICHIROとKO-HEYの二人はコーラスはもちろん、リードヴォーカルを担当する場面もあるので、時にR&Bコーラスグループとしても機能する実に多機能なグループ。


ほんと凄いと思います...


あとはやはりVo.TAKEの圧倒的な歌唱力ですね...

伝説のゴスペルシンガー「サム・ジョーンズ」に師事したということもあり、日本人離れした太く、ソウルフルな歌唱が圧倒的...

それでいてめっちゃ優しいんですよ...

筆者的「抱かれたい声質No.1」とでも言っておきましょうか 笑

それくらい好きな歌声です。

真似しようとしても全然出来ませんでしたが w



それではざっくりとした紹介はこの辺にして...

今回は第一回目ということで、Skoop On SomebodyがまだSKOOPだった頃。すなわち1997年〜2000年あたりまでの作品を取り上げていきます。

90年代の日本と言えばかなりCDの売れた時代でしたが、当時SKOOPのCD売り上げは鳴かず飛ばず...

信じられない話ですが本日紹介する作品は全てオリコンTOP100位にも入っていません。

しかし、改めて初期の楽曲を聴いてみると、古さを感じることは一切なく、以降にリリースする様々な作品と同一のライブセットリストに組み込まれても違和感はゼロ。むしろアダルトさを前面に押し出した90年代のUSR&Bテイストな楽曲群が一気にディープなSKOOPワールドに引き込んでくれます。筆者もこれにまんまとやられました 笑

ほんとセクシーなんですよね...

ということで初期の作品を見ていきたいと思います。




「No Make de On The Bed」(1997)

記念すべきデビュー曲。

メロウさと快活さを持ち合わせた高揚感溢れる仕上がりで、ベッドイン必至の一曲。

凄くノリっぽい中に包容力を感じるあたりがさすがですよね 笑 

2003年のベスト盤に収録されるまでの間、長らくアルバム未収録だった曲でもあります。

CDジャケットの3人が某映画のエージェントっぽくて何かやらかしそうな雰囲気満載ですよね 笑

実際にR&Bを日本でいち早く実践した功績は大きく、「いい意味で」やらかしてくれました。ほんと感謝ですね。


「碧い雨」(1997)

こちらはカップリング。淡々としたリズムが雨を連想させるナンバーで、その後多くリリースされる雨関連の楽曲(「ama-oto」や「恋雨」など)の最初と言える作品。

本曲はその後おそらく一切再録されていないので、このシングルでのみ視聴可能な楽曲。




「バラ色」(1997)

2ndシングル。ライブなどでも頻繁に披露される曲で、「Nice'n Slow」などと並び初期SKOOPを代表するナンバー。

遊び心ある間奏のセリフや美女を前にどこまでも紳士的な登場人物の態度が余計にセクシーさを際立たせる名曲。

恋の始まりの浮き足立つ感覚が凄くリアルなんですよね 笑 


「I Don't Wanna Let U Go」(1997)

1stアルバムにも収録。「バラ色」とは対照的に「失意」を強く感じる一曲。




「Nice'n Slow」(1997)

そしてもはや説明不要と言わんばかりのこの曲。

SKOOPを象徴する超絶メロウな傑作にして、後にバラード・アルバム「Nice'n Slow Jam」シリーズのタイトルにも使用されることになるSKOOPを語る上でスルー厳禁の重要な一曲。

甘い歌声とリリック、ときめきを感じる煌びやかなサウンドがたまらないです。後にリメイクされる「Nice'n Slow (S.O.S.edition)」バージョンも凄く好きですが、改めてオリジナルを聴くと、やっぱりオリジナルも最高 !


「いつまでも〜Forever & A Day〜」(1997)

SKOOPのレパートリーではかなり珍しいレゲエ風のナンバー。

南国のビーチを思わせるサウンドが心地いいです。こちらもその後再録されていない結構マニアックな一曲な気がします。


「Nice'n Slow (Acoustic Version)」(1997)

初めて聴いた時鳥肌が立った表題曲のアコースティックバージョン。ピアノ伴奏をメインに据え、終盤ではクラップ(手拍子)が入るゴスペル風なアレンジが特徴的。

TAKEさんのフェイクが凄すぎて、ほんと黒人のヴォーカリストって感じです...

オリジナル同様こちらも必聴 !




「SKOOP」(1997)

上記「バラ色」や「Nice'n Slow」を収録した「黒さ」満載の1stアルバム。

全編通して豊潤な仕上がりで、R&Bが内包するいわゆるベッドタイムミュージックとしての側面を意識したメロウな仕上がりが特徴。

97年の時点でこの貫禄...まさに早熟...

ほんと憧れますね...


以下数曲抜粋してご紹介


「Come Back 2 Me」

初期SKOOPの中でも切なさを前面に押し出したスローバラッド。SKOOPにおけるバラード曲の元祖とも言える曲で、実にSKOOPらしい優しさ溢れる質感がいいですね。


「Sexy Sexi Sexe」

タイトル通りエロさ全開にしてノリノリのナンバー。ライブでも非常に盛り上がる楽曲ですね。遊び心満載のリリックもどこかコミカルで「Baby FaceでもGET!出来ない」のフレーズに痺れます 笑


「Bye Bye 〜その日が来るまで〜」

後に4thシングルに「Bye Bye 〜その日が来るまで〜 (Acoustic Version)」として再録されるノスタルジックなナンバー。アルバムのラストを哀愁とともに締めくくります。




「壊したい」(1998)

4thシングル。元々8cmシングルとしてリリースされた後、2005年に12cmシングルとして再発されました。

一言で表すなら「我慢の限界」「本能」と言ったところでしょうか 笑 冒頭から終盤にかけて徐々に熱を帯びていき、終盤はもうどうしようもないくらいです 笑 でもそれが最高 ! 笑

プライドも何もかなぐり捨てた主人公の「男」としての姿が実に見事に表現されています。

初めて外部のクリエイターを作詞家として迎えた楽曲と知った時は驚きました。詞の吸収力が半端じゃないですよね...




「Mood 4 Luv」(1998)

そしてこの曲。個人的にSKOOPの曲の中でも1.2を争うほど好きな楽曲。

SKOOPとして活動する以前のバンド名がこの「Mood 4 Luv」のようで、エフエム・ノースウェーブの番組名でもありました。

グルービィでアーバンなサウンド、甘いヴォーカルが最高にカッコいい超絶名曲 !

後に「Nice'n Slow Jam 15 years Limited」にてリメイクされた「Mood 4 Luv (Mellow Flavor)」もめっちゃお気に入り。

4人組コーラスグループとかが歌ってもカッコ良さそうですよね。



「時計」(1998)

2ndアルバムにも収録された切なさ溢れるリリックと寂しげなTAKEの歌唱が印象的なナンバー。2009年にリリースされたバラードベスト「LOVE BALLADS」におけるセルフライナーノーツによると、サビは高校生の時に作成されたようです。相変わらず早熟 !




「Mood 4 Luv」(1998)

2ndアルバム。5thシングル「Mood 4 Luv」と同タイトルで、シングルと同時発売されました。上記の「壊したい」や「Mood 4 Luv」といった傑作シングルはもちろん、アルバム曲の中にもその後歌い続けられる人気の楽曲がズラリと並ぶ名盤。個人的にも凄く好きなアルバム。


以下数曲抜粋してご紹介


「WANNA BE A BOYFRIEND」

冒頭のスクラッチや秀逸なコーラスなど90年代USR&Bを意識した仕上がりがツボな一曲。

個人的にお気に入りの楽曲です。


「想い」

後に「Nice'n Slow Jam」にて「S.O.S.edition」としてリメイクされる名曲。

登場人物と似たようなシチュエーション経験したことのある人なら涙腺崩壊必至の一曲。

TAKEさんの歌声が優しすぎて...やばいです...


「Mellow Groove」

アナログレコードを女性に見立てた遊び心あるリリックが実に面白い一曲。

ブラックミュージックに対する深い愛情を感じますね。


「Everlasting Love」

そして7分を超える圧倒的ヴォリュームのゴスペルナンバーがこちらの「Everlasting Love」

ラストは息を飲むほど圧巻の盛り上がりでアルバムを華々しく飾ります。初めて聴いた時めちゃくちゃ感動して、まだ所持していないSKOOPのCDを急いで買いに行った記憶があります 笑

ブレイク前の平井堅がゴスペルクワイヤに参加している点もポイントで、同じ98年に平井堅もゴスペルナンバー「Love Love Love」をリリースしているので、両者の間で情報交換などが結構あったのかもしれませんね。




「Over & Over」(1999)

「Mood 4 Luv」と並び個人的にかなり好きなSKOOPの傑作ミッドナンバー。

身体の芯から揺らしたくなるリズムとTAKEの熱い歌唱にいつももってかれます。

しかもこの曲、めちゃくちゃ良いこと言ってますよね...

曲調はもちろん、リリックもかなりお気に入りの一曲。


「祈り」(1999)

後々もライブで頻繁に披露されるファンにも人気の一曲。「Everlasting Love」に劣らないスケールある仕上がりでこちらも鳥肌モノ !

DVDとして発売されている2005年の武道館におけるライブ「Live in performance 2005 Christmas Edition Special BUDOKAN」でセットリストの一曲目からこの曲が披露された時は驚きました。




「Amanogawa」(1999)

以前の記事でも紹介させていただいたご存知SKOOPを代表する超絶名曲。

浮遊感のあるサウンドと繊細な抑揚、日本語詞のみで構成されたリリック。R&Bの枠を超えた決して色褪せることのない永遠の名曲と言っていいでしょう。

本曲はSING LIKE TALKINGの佐藤竹善氏がカヴァーしたことで有名な他、EXILE ASTUSHIもハワイにおけるソロライブでカヴァーしていますね。




「Where do we go」(1999)

3rdアルバム。先述したようにCD売り上げが伸びずにアーティスト生命の危機に陥っていたSKOOP。本アルバムはそんな彼らのアーティスト生命を懸けた作品というだけあって、1stアルバムで前面に出されていたセクシーさを残しつつも、当時の彼ら自身の心情を吐露したかのような楽曲が多く収録されているのがポイント。

ゲストも非常に豪華で、アコーディオニストのcoba氏やサクソフォーン奏者の本田雅人氏等が参加しています。

そのため1st、2ndと比較するとかなり実験的かつ挑戦的な楽曲が多く、一曲一曲が際立って個性的な印象。Skoop On Somebodyに改名してからのアルバムを含めても、非常に類を見ない作品な気がします。

ちなみに最後の一曲「祈り」が終了して1分後くらいに、隠しトラックとしてオリジナルバージョンの「Amanogawa」が突如再生されます。


以下数曲抜粋してご紹介


「宙の地図」

2分程度の短い楽曲にも関わらず、本アルバムを象徴する浮遊感や放浪間を見事に表現した秀逸なプロローグ。


「Luv Connection」

RIP SLYMEのトラックメイカーであるDJ FUMIYAが参加した楽曲。

歯切れの良いメロディが印象的なメロウナンバー。


「Actor」

本アルバムで特に異質な存在感を放っているのが本曲。終始不穏な質感のピアノとアコーディオンの音色が独特なリリックに絶妙にマッチした名曲。2004年には「Actor (club SOS Version )」としてセルフリメイクされます。


「Soul Shadow」

Raa-Deeによるラップが加わったHIP HOP色強いナンバー。

世紀末を目前に控えた結構ロマンチックなリリックがカッコいい。


「Where do we go」

アルバムタイトル曲にして、アーティスト生命の危機に陥っていた当時の彼らの心境を想起せずにはいられない楽曲。先が見えない中にも力強い意志を感じる強力な一曲で、筆者もかなり好きな楽曲です。







いかがでしたでしょうか?

今回は以上になります。

初期のSKOOPの曲をあまり知らないという方も、是非一度聴いてみることをお勧めします。

筆者も特に好きで聴いていた楽曲達なので、非常に強い思い入れがあります。

次回はSkoop On Somebodyに改名後の作品を追って行こうと思います。


最後までご覧いただきありがとうございます。


ではまた次回 !

ご覧いただきありがとうございます。


今回は楽曲紹介記事になります。

取り上げるアーティストは「J Soul Brothers」

その中でも後の「EXILE」や「三代目J Soul Brothers」へと繋がるまさしく「原点」と言っていい初代J soul Brothersについて執筆していきたいと思います。

というのも、三代目J Soul Brothersは今年でデビュー10周年。三代目になる以前の初代から考えるとなんとデビュー21周年。この記念に改めて初代から振り返ってみたいなと思った筆者でございます。

ほんとJ Soul Brothersも歴史あるグループだな〜なんてしみじみ思ってしまいますね。

まあもっと遡ればEXILEのリーダーHIROが所属していた「ZOO」あたりまで話が広がるのですが、流石に長くなり過ぎるので...笑

最後までご覧いただければ幸いです。



それでは前置きはこの辺にして本題に入りますが、ここでざっとJ Soul Brothersの紹介。



男女混合ダンス&ボーカルユニット「ZOO」としての活動と並行してHIROは1991年にダンスチームを結成し、あのボビーブラウンの日本ツアーに参加。

その実力が認められボビーブラウンに「Japanese Soul Brothers」と名付けられます。

ZOOの解散から数年後の98〜99年頃にMATSU、USA、MAKIDAI、そして初代ヴォーカルのSASAが加わり99年に「J Soul Brothers」としてデビュー。


初期メンバーは下記の通り

SASA(ヴォーカル)

HIRO(パフォーマー)

MATSU(パフォーマー)

USA(パフォーマー)

MAKIDAI(パフォーマー)


後にEXILEとして名を馳せるパファーマー4人は言わずもがなですが、当時はヴォーカルが一人体制なのが特徴的。

この初代ヴォーカルSASAがなかなかの強者で、後のATSUSHIやSHUNに負けず劣らずの実力派。当時からJ Soul Brothersの曲の作詞や作曲も手掛けていました。

J Soul Brothersを脱退した後は自身が設立したレーベルからソロ楽曲を発表したり、グループでの活動も行うなど勢力的に活動しています。近年は作曲家として乃木坂46や欅坂46に曲を提供したりしていますね。





J Soul Brothers 「Follow me」(1999)

記念すべきデビュー曲。EXILEをはじめ、多くのLDH所属派生グループの歴史はここからはじまりました。

特筆すべきは後にEXILEが発表するレコード大賞曲「I Wish For You」などを手掛けたT.kura、Michico夫妻によるGIANT SWINGがここでも作編曲に携わっているということ。Michicoはアディショナルヴォーカルとしても参加しています。

夫妻が関わっているということもありクオリティは破格で、J-R&B好きの間では言わずと知れたR&Bクラシック。筆者も好き過ぎて未だによく聴きます。ほんと最高です。

ただ、テン年代以降に青春を過ごした若者からすると「Follow me」といえばEXILEの妹分である「E-girls」の方を思い浮かべてしまうでしょう 笑




J Soul Brothers 「Be with you」(1999)

こちらはアナログ盤。ジャケットが青と赤の二種類存在し、それぞれ収録曲が異なる仕様になっています。

赤の方のA面が「Follow me」であるのに対し、画像の青は「Be with you」がA面になっています。そのためこの青のアナログにのみDJ HASEBEによるリミックスが収録されています。(HIROに焦点を当てたDVDにも収録されている)

本曲も上記「Follow me」同様T.kura、Michico夫妻が作編曲を担当している強力な一曲。

90年代のUSR&Bミディアムの影響を強く感じる絡みつくようなフック(サビ)にSASAのハイトーンヴォーカルによる激しいフェイクが痛快。

めっちゃかっこいいです。そしてSASAさん歌うまいな〜





J Soul Brothers 「君のいない夜 君のいない朝」(1999)

一応シングル扱いのようですが、ミニアルバムっぽい内容でリリースされた作品がこの「J Soul Brothers」

上記の「Follow me」や「Be with you」を含む7曲入りで、初代J Soul Brothers唯一のバラード曲「君のいない夜 君のいない朝」が収録されているのがポイント。

作詞、作曲をSASAが手掛けているので、彼のパーソナルな部分が色濃く出た一曲。

いい意味で投げやりに聴こえるヴォーカルが登場人物の無気力な心情を表しているような感じがしますね。





J Soul Brothers 「there must be an angel ( playing with my heart)」(1999)

初代J Soul Brothersは決して長いとは言えない活動期間でしたが、その間にカヴァー曲もリリースしています。

それがこの曲。ほんと有名過ぎて誰もが耳にしたことのある曲ではないかと思います。

ユーリズミックスの代表的な曲ですね。

画像はプロモーション用のアナログ盤で、DJプレイ向けの「F.F.Mix(First Fast Mix)と上記「J Soul Brothers」に収録されたものと同様の「S.S.Mix(Second Slow Mix)」の2種類が収録されています。

特に「S.S.Mix」はノスタルジックな雰囲気がいい味を出しており、個人的に名カヴァーだと思っております !

にしても2000年前後の日本のアーティストに限っても井手麻理子やTinaなどがカヴァーしてましたからね...

カヴァー多いですよね。日本人にも馴染みやすそうな感じの曲ですしね。





J Soul Brothers 「D.T.B.(Do The Basic)」(2000)

2ndシングル。D.T.B.は「Do The Basic」の略で、歌詞の中にも登場するように原点回帰をテーマにした楽曲。

楽曲のテーマといい激しいダンスといい、後のEXILEファミリーにおける24karatsシリーズを思い出さずにはいられません。

「これぞEXILE」「これぞJ Soul Brothers」と言わんばかりの仕上がりで胸が熱くなりますね。

ちなみにこのシングルは2000年リリースということもあり「millennium(ミレニアム)」「Chaos(カオス)」など、世紀末ネタっぽい楽曲が収録されているところも非常に面白いです。





J Soul Brothers 「Fly Away」(2000)

3rdシングル。初代ヴォーカルSASAが手掛けた代表的楽曲であり、EXILEファミリーの後輩アーティストたちが長らく歌い継いでいる伝統的な一曲。

肉体美とHIP HOP色を前面に押し出した24karatsシリーズもEXILEの象徴ですが、このFly AwayはEXILEの国民的アーティストとしての側面を象徴した最初の楽曲のように思います。「Rising Sun」や「Someday」のように「夢」や「愛」を爽やかに歌う楽曲のルーツと言える気がしますね。

2014年にEXILE TRIBE名義で発表したアルバム「EXILE TRIBE REVOLUTION」にはTAKAHIRO、ネスミス、SHOKICHI、今市隆二、登坂広臣の5名で本曲をカヴァーしたバージョンが収録されています。

また、カップリングにはT.kura、Michico夫妻による「Fly Away (Giant Swing Mix featuring Michico&Hac)」が収録されておりこれがまた最高 ! 

R&Bテイストのアレンジが艶やかな質感でクセになります。






いかがでしたでしょうか?

20年も前の楽曲たちになるので、今の若い世代には馴染みのない曲ばかりかと思いますが、

EXILEや三代目J Soul Brothersのルーツを少しでも堪能していただけたら幸いです。

特に本日紹介した楽曲の大半はEXILEの1stアルバム「our style」にてATSUSHIとSHUNのヴォーカルでカヴァーされたバージョンが収録されているので、聴き比べてみても面白いかもしれません。


いつか二代目や三代目に関しても記事を執筆できたらいいな〜と思っておりましたので、気長にお待ちいただければと思います。


最後までご覧いただきありがとうございます。


ではまた次回 !