ご覧いただきありがとうございます。
今回も前回に引き続きCHEMISTRYの作品を見ていきたいと思います。
前回はデビュー初期から2003年頃まで、すなわちCHEMISTRYの名付け親でもある松尾氏プロデュースの時期だったわけですが、今回からは遂にセルフプロデュース期に入ります。
このセルフプロデュース期を追うことで、CHEMISTRYがその後いかに熾烈な音楽業界を生き抜いてきたか、その重要なプロセスを再確認することができると思います。
というのも、繰り返しになりますがやはり大ヒットした松尾氏プロデュースによる初期の作品群は本当に人気が高い。
そりゃあもう知名度も抜群。CHEMISTRYのファンならずとも、当時青春を過ごした世代は一度は聴いたことがある人がほとんどでしょう。
そのため後々も様々な音楽番組でよく取り上げられるし、多くのアーティストにカヴァーもされたりなど、初期作品は日本を代表する歌モノの定番曲として、早い段階から一定の地位を築き上げたと言っても過言ではないように思います。
そして...上記のことを踏まえた上でのセルフプロデュース期...
想像するだけで半端じゃないプレッシャーがかかったのではないかと思えますよね 汗
しかし、その後の作品を聴くと、そんな心配は杞憂と思える程にCHEMISTRY二人のセルフプロデュース能力は非常に高かったと思わざるを得ません。
セルフプロデュースというだけあって、その後のCHEMISTRYの方向性の決定はもちろん、方向性に即した楽曲を大量のデモ音源から選定したり、理想とする楽曲に必要なクリエイターに依頼するといったことも自分たちで行っていったと思いますが、そのセンスがやはり抜群だと感じます。
活動初期から仕事を共にしてきた麻生哲朗氏や藤本和則氏、ケツメイシのRyoji、葛谷葉子はもちろん、大先輩久保田利伸、為岡そのみ、GIANT SWING、後に日本を代表するプロデューサーへと成り上がるnao'ymtによる楽曲提供など、目の付け所には一切の余念がありません。
言わずと知れたCrystal Kayとのコラボレーション曲もヒットしましたね。
と、このように今サラッと振り返っただけでも相当に破格のプロデュース。
それでいてCHEMISTRYらしさをしっかり感じることができるのはやはり二人の歌声が唯一無二だからでしょう !
それでは以下楽曲紹介
最後までご覧頂ければ幸いです。
「アシタへカエル」(2003)
2曲目の「Us」とともに両A面としてリリースされたセルフプロデュース一発目のシングル。
ノスタルジーを感じる暖かいサウンドにCHEMISTRY二人の優しい歌声がマッチした一曲。
筆者はこの曲聴くと自分の子ども時代を懐古してしまいます。
作詞は「PIECES OF A DREAM」の麻生哲朗氏。
「Us」(2003)
3rdアルバム「One×One」のリードを飾るアップナンバー。
JUJUや平井堅など多くのアーティストに作品を提供してきた強者、松浦晃久氏がサウンドを手掛けた一曲で、生音を重視した軽快かつお洒落なサウンドに前向きなリリックが映える傑作 。
「Bright Lights」(2003)
川畑・堂珍二人で作詞を手掛けた初の楽曲。どこか懐かしいシティポップっぽい雰囲気を感じる一曲...かと思いきや終盤はロック的な要素も感じる挑戦的な一曲。
その後のアルバムにも一切収録されていないので、CHEMISTRYの熱心なファンしか知らなさそうなコアな一曲でもある気がします。
「アシタへカエル (キボウノヒカリ Version) feat.HAB I SCREAM」(2003)
通常盤にのみ収録された「アシタへカエル」の別バージョン。
ヒップホップユニット「SOUL SCREAM(ソウルスクリーム)」のMC「HAB I SCREAM(ハヴ・アイ・スクリーム)」のラップが加わった一曲。こちらもいい !
「Us (PE'Z BLOODY MIX)」
こちらはジャズバンド「PE'Z(ペズ)」が参加した豪華なジャズアレンジの「Us」
原曲も最高ですが、こちらも負けず劣らずの完成度 !
というかこのシングル豪華ですよね 笑
「YOUR NAME NEVER GONE」(2003)
後述の「Now or Never」「You Got Me」と共にトリプルリードシングルとして発売された9枚目のシングルで、「名前」をテーマにしたリリックが印象的な一曲。
彼らの真骨頂とも言えるヴォーカルの化学反応を堪能できる芳醇なバラード。
「SPANOVA」が手掛けたオーケストラを思わせる荘厳なサウンドも極上 !
「Now or Never / CHEMISTRY meets m-flo」(2003)
m-floとコラボレーションしたm-flo節全開のかなりトリッキーな一曲。
やはりm-flo最高 !と叫びたくなる近未来的なピロピロサウンドの中、VERBALとCHEMISTRY の掛け合いが聴けるスペシャルナンバー。
アニメ鉄腕アトムの主題歌としても知られています。
「You Got Me」(2003)
3rdアルバム「One×One(ワン・バイ・ワン)」には未収録でしたが、この時期のCHEMISTRYに多く見られる生音によるおしゃれなサウンドが心地いいアップナンバー。
先述の「Us」に通じる作風で、こちらもお気に入り。
「So in Vain」(2004)
そしてこちらがこの時期のCHEMISTRY作品の中でも屈指の人気を誇る超傑作ミディアムナンバー。
R&B系シンガー「為岡そのみ」がサウンドを手掛けた作品としても知られていて、柔らかくスムースなメロディーが実に優しげで心地いい楽曲なのですが、それとは対照的にJuve氏によるリリックはかなり深く、互いに偽りで覆われた一組の男女の恋模様はとても一言では言い表せません。
「So in Vain (sugiurumn HOUSE MISSION MIX)」(2004)
こちらはミュージシャン、DJとして活躍するSUGIURUMN(スギウラム)によるDJプレイ向けにハウスアレンジされた「So in Vain」
「One×One(ワン・バイ・ワン)」(2004)
セルフプロデュース期に入り初となる3rdオリジナルアルバム。セルフプロデュースだからこそできる自由度の高いプロダクションが特徴で、1st、2ndと比較してみても川畑・堂珍二人の意向が多分に反映されたこだわりの一枚。
全体的には生音を重視したオーガニックなサウンドと、懐古的でありつつも前向きなリリックが特徴的で、聴き手を元気付ける非常に暖かみのある仕上がり。
そして注目すべきは落ち着いた作風ながらアップナンバーが想像以上に充実している点。CHEMISTRYと言えばその歌ぢからを活かしたバラード系のナンバーが有名な気がしますが、本作品ではリードを飾る「Us」やm-floとのコラボ「Now or Never」をはじめ、「my Rivets」「Ordinary hero」「赤い雲 白い星」などのアップナンバーがかなり良い味出してます。
ちなみにCDのジャケットやブックレットの写真はイタリアのナポリ街やカプリ島で撮影されており、ブックレットは朝から夕方にかけて時間の流れを感じさせるコンセプトになっているようです。
以下収録曲から抜粋してご紹介
「my Rivets」
川畑がプロデュースした楽曲で、前回記事で紹介した「Running Away」「FLOATIN'」に続くいわば「2ステップCHEMISTRYその3」
高速ビートによるスピード感ある仕上がりがたまらないです。
作詞はCHEMISTRY活動初期からその才能を大いに発揮しているケツメイシのRyoji。
「This age」
内省的なリリックが印象的なミディアムスロー。
登場人物の寂しげな旅路を感じますが、ラスサビ前のブリッジから情景がワントーン明るくなる印象を受けますね。
「meaning of tears」
川畑が作詞を手掛けたスローナンバー。
終盤のソウルフルな歌唱にいつも心を持ってかれます。やはりCHEMISTRY二人のヴォーカルによる突出した感情表現の妙は健在。
特にこの曲は作詞を手掛けただけあって川畑の声がいつにも増して沁みます。
「Ordinary hero」
S.O.S.(Skoop On Somebody)のKO-HEYがドラムで参加したロック色強い傑作ファンク。
抜群にノリがいいサウンドと、CHEMISTRYのパワフルな歌唱が最高 !
「赤い雲 白い星」
南国にトリップしたかのようなサンバテイストのサウンドが最高に心地良い一曲。
肩肘張らないリリックと歌唱に、ついつい身体を揺らしたくなりますね。
やはりこのアルバムは全体通してトリップ感を味わえるのが良いんですよね !
「いとしい人」
堂珍がプロデュースした胸キュン必至の傑作スウィートラブソング。
冒頭の汽笛や甘いリリックなど、おとぎ話し的なほのぼの感が可愛らしいですよね。
1st、2ndと比較して本作はわかりやすいラブソングは少なめでしたが、ラストにこんなスウィートラブソングはズルい ! 笑
「mirage in blue」(2004)
「Motherland」「Naturally Ours」で作詞を手掛けた浅田信一氏が作詞を担当した清涼感あるサマーチューン。
オリジナルアルバムには未収録でしたが、「Point of No Return」と並び「夏のCHEMISTRY」と言えばこちらもハズせない一曲 !
「Long Long Way」(2004)
HIP HOPベースながらもオーケストラっぽいアレンジが効いた奥行きあるサウンドが聴き応え抜群の一曲。終盤は転調やコーラスによってより一層ドラマティックな展開を見せます。
余談ですがCHEMISTRY活動休止中、筆者は川畑のソロライブに参戦したことがあるのですが、その時この曲が披露されて、この曲の良さを再確認したのをよく覚えています。
「涙のあと」(2004)
こちらはボサノヴァっぽいおしゃれなサウンドが特徴的ながらも、ヴォーカルの印象が強く残るCHEMISTRYらしいバラード。こちらもかなりお気に入り。
「Long Long Way (韻シストMIX)」
HIP HOPグループ「韻シスト」がプロデュースした別バージョン。
いや〜こちらも良いですね !
韻シストによるラップは言わずもがな、セッションっぽい仕上がりもカッコイイです !
「白の吐息」(2004)
後述するコンセプトアルバム「Hot Chemistry」に収録されたウインター・ラブ・バラード。
作詞作曲には「So in Vain」で実に味わい深い化学反応を見せたJuve、為岡そのみのコンビを、アレンジには自身もソロ作品をリリースするなど高い実力を誇る村山晋一郎を迎えた豪華仕様。
終盤に川畑・堂珍の圧倒的な化学反応を聴かせる王道のケミストリーバラードながら、聴けば聴くほど徐々にハマる中毒性を同時に含んだ名曲。
「Hot Chemistry」(2005)
こちらは数々の注目点が存在する「冬」をコンセプトにしたウインターアルバム。
アーバンな要素を極力排除したいわば「冬の暖炉」的な質感を全編通して味わえるまさしくホットな仕上がりが秀逸な一枚。
特にnao'ymt提供の「Why」、久保田利伸提供の「Monologue」、佐野元春提供の「グッドバイからはじめよう」など新録曲のクオリティが破格で、CHEMISTRYファンはもちろん、それ以外の人にもおすすめのしたい冬のマスト盤。
以下収録曲から抜粋してご紹介
「ココロノドア」
恋人を引き止めなかった後悔を描いた一曲。
雪を連想させるウインターバラードらしいサウンドが、登場人物の心情にそっと寄り添います。
「Why」
ブレイク前の「nao'ymt(ナオワイエムティー)」が提供した傑作スロージャム。
実にnao氏らしいリリックやサウンドが特徴的な作品ですが、nao氏のソロ作品というよりは、nao氏が所属するR&Bコーラスグループ「Jine(ジャイン)」のレパートリーにありそうな楽曲なので、「Jine」によるセルフカヴァーを是非聴いてみたい一曲。
「Monologue」
久保田利伸がサウンドプロデュースしたグルーヴ感満載のスムースR&B。
ほんとこの曲聴いてると久保田氏の歌声が同時に聴こえてくる感覚になります。
こちらも是非ご本人にセルフカヴァーしてほしい一曲。最高 !
「グッドバイからはじめよう」
日本の音楽シーンで数々の功績を残した佐野元春が手掛けたジャズテイストの一曲。CHEMISTRY二人の歌声の良さが最大限引き出せれている気がします。
アレンジに「COLDFEET(コールドフィート)」が参加しているのも見逃せないポイント。
「チャイム」
堂珍が作詞を手掛けた本アルバムを象徴するかのようなナンバー。
川畑・堂珍の超絶ケミストリーを終始堪能できる歌ぢから溢れる仕上がりに、聴き手の「こころのチャイム」も鳴りっぱなし ! 最高 !
「キミがいる」(2005)
これまで紹介してきた2STEP系作品のスピード感を継承しつつも、より明瞭に、よりポップに仕上がった快活なアップナンバー。
カラオケでも一人で歌うと息継ぎとか大変なんですよね 笑
CHEMISTRYの二人がそれぞれカレーを手作りするPVが印象的。
「Dance With Me(KOREA/JAPAN Ver.) CHEMISTRY & Lena Park」(2005)
「Let's Get Together Now」で共演した韓国のR&B系シンガー「Lena Park(リナ・パーク)」と再びコラボした楽曲。
リナ・パークの声がかわいい !
「Wings of Words」(2005)
「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」のOPテーマとしての印象も強い15枚目のシングル。
「最後の夜」「B.M.N」などでその才を存分に発揮した葛谷葉子がサウンドを手掛けた一曲。
PVといい曲の雰囲気といい、異国情緒溢れるメルヘンな仕上がりがいいんですよね !
こういうCHEMISTRYも結構好きです。
「Change the World」(2005)
誰もが一度は耳にしたことがあるであろう世界的に有名な楽曲のカヴァー。
これまでにCHEMISTRYの様々なカヴァー曲を聴いてきましたが、これが一番好きかも...
ほんと最高 ! 声が良すぎる...そして歌が上手すぎる...
アレンジは先述の「Why」を手掛けたnao'ymt。
Crystal Kay × CHEMISTRY「Two As One」(2005)
Crystal Kayのシングルとして発売されたコラボレーション楽曲。
歌詞は2種類存在し、こちらは女性視点のバージョン。男性視点のバージョンはシングル「almost in love」のカップリング、後述する4thアルバム「fo(u)r」に収録されています。
余談ですがこの曲のCHEMISTRYパートは結構キーが低いので高い声が出にくい人でも歌いやすい気がします。
「almost in love」(2005)
そしてこちら。ファンの間でも特に人気の高いCHEMISTRY史上最高峰の超傑作スウィート・ラブ・バラード。
甘いリリック、ロマンチックな展開、美しいPV、そして超絶ケミストリー !
これは惚れますよ...
筆者的、女の子の前で上手に歌えたらモテそうな曲No.1 笑
「Two As One」(2005)
男性視点バージョンの「Two As One」
「fo(u)r(フォー)」(2005)
4thアルバム。オーガニックな心地良さを意識し、どちらかというと内向的かつ静的な印象を受けた前作「One×One」とは打って変わり、本作は開放的かつ動的なエモーショナル感を強く感じる仕上がりが特徴。と同時にCHEMISTRYアルバム史上最高レベルにバラエティに富んだラインナップで構成された一枚。
ゴスペルを取り入れた「Here I am」「for...」ロック色を全面に打ち出した「伝説の草原」T.Kura、MICHICO夫妻によるコテコテのR&B「Grind For Me」など、一曲ごとに大きく毛色を変える非常に挑戦的なプロダクションに驚かされます。
さらには、この時期のCHEMISTRYの楽曲は歌唱難易度がかなり高いように感じますが、それらハイレベルな楽曲を歌いこなすCHEMISTRY二人の歌声の進化が著しい。
ここまで多種多様ながらも、アルバム全体の統一感が損なわれないのはCHEMISTRY二人の歌声が軸にあるからでしょう !
このアルバムあたりでいわゆる「ケミストリーブランド」が確立されてきたように感じます。
以下収録曲から抜粋してご紹介
「Here I am」
リードを飾るに相応しいアップテンポな爽快ゴスペルナンバー。
クワイヤをバックに高らかにアドリブを歌い上げる川畑・堂珍の歌唱にのっけからテンション爆上がり !
「nothing」
作詞に古内東子、作曲に葛谷葉子、アレンジにOCTOPUSSYという破格の布陣で製作された傑作美メロR&B歌謡。
この上ない流麗な仕上がりに陶酔 ! そして必聴 !
「伝説の草原」
最初聴いた時に驚きを隠せなかった超意外なバンド感溢れるロックナンバー。
がしかし、やはり本アルバムに必要不可欠な楽曲であったと強く感じます。草原というだけあって爽やかな風を感じます。
「Grind For Me」
遂に実現したT.Kura、michico夫妻による「GIANT SWING」とCHEMISTRYのコラボレーション。CHEMISTRY史上最エロR&B。クオリティは言わずもがな破格。
今尚J-R&Bファンから根強く愛される一曲。
「believin'」
数多くのアーティストに楽曲提供する裏方として活躍しつつ、自身もシンガーとして卓越した才能を持つ「AKIRA」や男性二人組ユニット「SOFFet(ソッフェ)」が詩曲を提供した楽曲。ニュー・ジャック・スウィングをベースにしたポップなミッド。
「for...」
アルバムラストを飾る壮大なゴスペルナンバー。渡邉亜希子氏による普遍的なリリック、CHEMISTRYの圧巻の歌唱に脱帽 !
CHEMISTRY史に残る超絶大作 ! 必聴 !
「Re:fo(u)rm(リ・フォーム)」(2006)
上記「fo(u)r(フォー)」に収録された楽曲の別バージョンだけで構成されたリミックス・アルバム。どの曲も原曲とは違った良さがあるので、気になった方は是非。
筆者は「キミがいる(MATALLY New Era Mix)」「Wings of Words (alas de palabras)」「Grind For Me (PUM PUM Mix CHEMISTRY feat.BOY-KEN」「Long Long Way (韻シストMIX)」あたりがお気に入り。
いかがでしたでしょうか?
初期作品ほど知名度は高くないかもしれませんが、どれも忘れられない楽曲ばかりですよね。
R&Bブームに上手く迎合することでヒットした彼らですが、それ以降の楽曲も負けず劣らずのクオリティ !
むしろこの頃のCHEMISTRYが好きっていう人も結構いるかもしれませんね。
皆さんのお気に入りの楽曲も必ずあるハズ !
最後までご覧いただきありがとうございます。
ではまた次回 !
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