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今回もSkoop On Somebodyの作品紹介記事になります。
前回はSKOOPからSkoop On Somebody(S.O.S.)に改名してすぐの作品を紹介していきました。「eternal snow」「潮騒」などといった実に挑戦的な楽曲はもちろん、彼らの名刺代わりにもなりうる「sha la la」などブラックミュージックの枠にとらわれないバラエティに富んだ楽曲群が一般知名度を底上げした時期でもありましたね。小林夏海氏、西平彰氏などの外部クリエイターのご活躍にも目を見張るものがありました。
今回はその続き。2002~2004年頃の作品になります。
正直2000~2005年くらいまで一気に紹介してもよかったのですが、ここまで刻むのには理由が二つありまして...
というのも、やはりこの時期の彼らは作品リリースサイクルが異常に早く、驚異的なペースで名曲を量産しているため、とてもじゃないが一回の記事では難しいというのがひとつ(これ以降もかなりハイペースですが...)
もう一つは、今回取り上げる2002~2004という時期は散々このブログでも紹介させていただいた松尾潔氏プロデュースの時期であるということ。
セルフ・コンテインド・バンドとして自分たちだけで制作から実演までこなす彼らが、2~3年の間同一のプロデューサーと制作を共にしたのは松尾氏くらいかと思います。
ということで今回も半分くらい松尾氏の記事になります 笑
にしてもこの時期の松尾氏の仕事量が半端じゃない...ほんと過労死するんじゃないかってくらいです...
2000~2001年あたりにかけて平井堅、葛谷葉子それぞれフルアルバム2枚。2001~2003年にかけてCHEMISTRYのフルアルバム2枚とリミックスアルバム1枚。他にも川口大輔やsoweluの発掘及びプロデュースなどなど...
S.O.S.以外にもここまで多くのアーティストと仕事をしていたのがほんと驚きです。
ここでポイントになるのが、松尾氏が当時手掛けたアーティストの中でもS.O.S.がとりわけブラックネスが強いということ。
デビューから4~5年目でR&Bに路線変更し成功した平井堅、元からR&B系デュオとして誕生したCHEMISTRYなど、R&Bブームに上手く迎合する形でヒットするアーティストは多くいたものの、S.O.S.の場合はその逆と言っていいでしょう。
活動初期からディープ過ぎたんですよね...笑
ディープ過ぎて売れ上げが伸び悩むという...
そのため、S.O.S.に改名後はむしろその本格的なブラックネスを上手く中和させることでヒットするという世の潮流とは逆行する形で注目を浴びることになります。
S.O.S.がR&Bと歌謡曲のハイブリッドを得意とする松尾氏とタッグを組んだのも納得ですよね。
それでは以下楽曲紹介。
最後までご覧いただければ幸いです。
「a tomorrowsong」(2002)
15thシングル。朗らかで心地良いサウンドとは対照的に、リリックはやけに切なく内省的な内容。このギャップが良い意味でたまらない一曲。松尾氏が作詞で参加、加えてサウンドにはヒットナンバーの「sha la la」ライブ定番の「around the world」などを手掛けたFace 2 fakeが参加しているのがポイント。
「over there Feat.JiN」(2002)
以前松尾氏の記事でも紹介させて頂いた韓国生まれ大阪育ちのシンガー兼ラッパーのJINが客演として参加したナンバー。JINはその後S.O.S.はもちろん多くのR&B系アーティストの楽曲を手掛けるプロデューサーとしても活躍する実力派。
この曲に関してはやはりJINのラップがいい味を出していますね。
「Tears of JOY」(2002)
松尾氏が初めて一からプロデュースした深い夜に聴きたい徹頭徹尾重厚なメロウナンバー。メロウかつ情熱的というS.O.S.のイメージにぴったりな曲とも言える気がします。後にLDH所属の男性デュオBREATHEがカヴァーした曲でもあります。このクオリティをカヴァーするの大変そうです...
「a tomorrowsong (Club S.O.S. Version)」(2002)
S.O.S.に改名後、しばしばカップリングに既存曲の「Club S.O.S Version(アコースティックアレンジ)」を収録していた彼らですが、中でも筆者のお気に入りはこちら。
先述したように原曲は朗らかなサウンドと切ないリリックのギャップが印象的な一曲でしたが、こちらはアコースティックサウンドと新たなヴォーカルアレンジにより切なさ倍増、ソウルフルな仕上がりに。原曲と聴き比べてみるのをお勧めします。
「ぼくが地球を救う ~Sounds Of Spirit~」(2002)
「sha la la」同様高い知名度を誇るヒットナンバー。S.O.S.史上最もキャッチーかつ快活な曲と言っても過言ではないでしょう。落ちサビからラスサビへと移行する際の開放感たるや最高 !
音楽界の重鎮鷺巣詩郎氏が編曲で参加しているのも大きなポイント。CHEMISTRYの時もそうですが、松尾氏をプロデューサーに迎えるとしばしば鷺巣氏も参加してくれる時が結構ありますよね 笑 羨ましいですよね 笑
「LAST SUMMER」(2002)
初期SKOOPの代表曲「Nice'n Slow」のカップリングに収録された「いつまでも~Forever & A Day~」(1997)以来のレゲエ風のナンバー。
いつにも増して肩肘張らないリラックスムードが夏のビーチを連想させます。
「Save Our Souls」(2002)
そしてこちら。S.O.S.と松尾氏によって生み出された5thアルバムにしてS.O.S.屈指のマスターピースとの呼び声高い超絶名盤。
特徴はというと、前作のオリジナルフルアルバム「Key of Love」(2001)では抑えめにされていた濃いいR&Bナンバーが目白押しという点。
そのため、先述した「ぼくが地球を救う ~Sounds Of Spirit~」のようなとびきりキャッチーな曲が収録されている反面、初期SKOOPを彷彿とさせるエロエロなセクシーナンバーが多数収録されているので初期からのファンはもちろん、S.O.S.に改名後からのファンも楽しめること間違いなしです。
以下収録曲から抜粋してご紹介
「Two of A Kind meets CHEMISTRY」
以前松尾氏の記事でも紹介した筆者お気に入りの一曲。S.O.S.、CHEMISTRY、松尾氏、エンジニアの川本ゴン太氏 !最高の布陣 !間違いないです ! S.O.S.、CHEMISTRYの掛け合いが最高にカッコイイ ! TAKEのヴォーカルもいつにも増してソウルフルに聴こえます。
「On the Red Carpet」
S.O.S.らしいアダルトなセクシーナンバー。作詞は松尾氏ですが、知名度の高い松尾氏のヒットナンバーからは想像できない実にテクニカルなリリックがサウンドと絶妙にマッチしています。アドリブ以外英語詞は一切なく、全て日本語詞とは思えない仕上がりが秀逸。
「Long for You」
「恋愛の教祖」との呼び声高い古内東子氏を作詞に迎えたナンバー。メンバーのKO-HEYが発起人となって制作した曲でもあるようです。
男性が普段なかなか見せることのできない繊細な心情を表現したリリックに感情移入しちゃいますよね。
「これは恋じゃない」
こちらはKO-ICHIROがメインで手掛けためちゃくちゃ切ないメロウなスロージャム。揺れ動く登場人物たちの心情とは対照的に、情景描写が妙に生々しいんですよね...好きですけど 笑
「A Streetcar Called Desire」
ノリがいいエレクトロファンクナンバー。こういう曲はアルバムのアクセントとして機能しそうな曲ですが、このアルバムではむしろかなり聴きやすい感じがするのが不思議です。
収録曲がどれもいい意味で個性的すぎるんですよね 笑
「Save Our Souls」
「Where do we go」「Key of Love」などを彷彿とさせる力強い決意がにじみ出たアルバム表題曲。筆者が運転中にこの曲流すと、よく同乗者が「この曲いいね」って言ってくれることが多いように思います。
「8.13~Anniversary~」
TAKEがメインで制作した楽曲。タイトルの8.13はTAKEの誕生日らしく、「記念日」をテーマに愛を貫く登場人物の心情が表現されたリリックが印象的。
「Sounds Of Snow」(2002)
こちらはタイトル通り「冬」をテーマにした曲だけで構成されたウインターアルバム。
特筆すべきはS.O.S.を代表するウインターソングである「eternal snow」や前回記事で紹介したバラードアルバム「Nice'n Slow Jam」唯一の新曲「Let it Snow」さらには後にセルフカヴァーするCHEMISTRYへ提供し大ヒットした冬の名曲「My Gift to You」などは一切収録されず、ほぼ新曲で構成されているという点。
こういう企画版はしばしば存在しますが、ここまで既存曲に頼らず新録曲で固められた企画版は珍しいと思います。S.O.S.、そして松尾氏の情熱やサービス精神を強く感じます。これは本当に凄いです。
以下収録曲から抜粋してご紹介
「星なき聖夜は ~There's No Christmas without You~」
TAKEのソウルフルな歌唱とゲストのゴスペルクワイヤを最大限に活かした超豪華なクリスマス・ゴスペル・ナンバー。「Everlasting Love」「祈り」に通じるスケールの大きさで鳥肌モノの仕上がりです。必聴 !
「Sounds Of Snow」
アルバム表題曲。一曲目の上記「星なき聖夜は ~There's No Christmas without You~」がソウルフルで神聖さを意識した仕上がりだったのに対し、こちらはむしろ日常的なミニマムさを意識した暖かみのある一曲。ラストの吐息がかったフェイクも実に心地良いです。
「夏よりも熱い冬 ~Winter Boogie~」
ブギーというだけあって懐かしのシティポップを思わせる都会的なアップ。
第二次シティポップブームを迎えて久しい今だからこそ聴きたい一曲。
「Joy & Happiness」
静かに降り頻る雪を思わせるサウンドが静寂さを演出するスローバラッド。
「This Christmas」
「eternal snow」のカップリングに収録された曲の新バージョン。言わずと知れたダニー・ハサウェイのカヴァー曲。「Ooo, baby, baby」もそうですが、S.O.S.の洋楽カヴァーいいですよね。
「春が来るまでに」
前回記事で多く登場した小林夏海氏が作詞を手掛けた一曲。叙情的なピアノ伴奏と涙腺を刺激するリリックが切ない一曲。S.O.S.×小林夏海氏のレパートリーはどれも日本語ならではの説得力を感じます。
「抱きしめて」(2003)
S.O.S.が元来持ち合わせるブラックネスと歌謡曲の究極の融合。終盤に向かうにつれて徐々に増えていく音数と、TAKEの熱い歌唱にいつも持ってかれます。まるで壮大な映画のような仕上がりに脱帽。名曲です。
「My Gift to You」(2003)
CHEMISTRYに提供しヒットした曲のセルフカヴァー。
とびきりスウィートかつハートフルな世界観がたまらないです。S.O.S.ならではのバンド感溢れるアレンジも聴き応え抜群。こちらも後に男性デュオBREATHEがカヴァーしています。
「This New Morning」(2003)
後にアルバムにも収録される爽やかなアップナンバー。
「Singles 2002~1997」(2003)
S.O.S.初のベスト盤にして名盤。1stシングル「No Maka de On The Bed」から「ぼくが地球を救う ~Sounds Of Spirit~」までの全シングルを網羅した内容。内容は言うまでもなく素晴らしいですが、やはり個人的な目玉は松尾氏による全曲解説のライナーノーツ。やっぱりライナーノーツっていいですよね。
「Sing a Song」(2003)
19thシングル。CHEMISTRYの初期楽曲でも多大な功績を残したYANAGIMANが編曲を手掛けた楽曲。
YANAGIMANの手腕が活かされた雑味の一切ない奥行きあるサウンドが心地良いです。KO-ICHIRO、KO-HEYのソロ歌唱パートがあるのもポイント。
「wanna, wanna, wanna」(2003)
初期SKOOPを彷彿とさせるセクシーな一曲。やはりS.O.S.には定期的にこういうパフュームミュージックを期待してしまうのは筆者だけではないハズ 笑 アルバム未収録。
「琥珀の月」(2003)
畳み掛けるような切迫感が特徴のナンバー。かの「潮騒」を思い起こさずにはいられない情熱的な世界観が印象的。「Everlasting Love」などS.O.S.の楽曲にはしばしば「琥珀」というワードが登場するような気がします。
また、4曲目には本曲の別バージョン「琥珀の月 (Spanish Passion)」が収録されており、こちらもお気に入り。
「CRAZY LOVE」(2003)
TAKEが作詞・作曲を手掛けたR&Bミディアム。先述した「over there」でコラボしたJINが今回もラップを担当。こちらもアルバム未収録であり、隠れた名曲と言ってもいいかもしれません。
「HELLOW MELLOW」(2004)
前回のオリジナル・アルバム「Save Our Souls」同様松尾氏がトータルプロデュースを手掛けた6thアルバム。ストリングスや女性コーラスの効果により全体を通して高級感のある仕上がりとなった本作は、それまでのアーバンテイストなアルバムとは一線を画すどこか品のある質感。また、セクシーなアダルトナンバーを残しつつも、特に目を引くのはアルバム後半に配置されたとにかく強力なラブバラッド群。
この作品でS.O.S.×松尾氏によるひとつの完成形を見た気がします。
以下収録曲から抜粋してご紹介
「Oh Yeah!」
アルバムの幕開けを飾るにふさわしいライブ感満載のグルービィファンク。SKOOP時代を思わせるサウンドながら、若干早めのBPMと歯切れの良さによって奇跡的なバランスを保った一曲。一曲目から贅沢 !
「Smile Again (Album Version)」
個別で紹介はしませんでしたが、こちらは21thシングル。冬の凍えるような寒さを感じずにはいられないウインターソングであると同時に、極めてハートウォーミングでもある優しさ溢れるバラッド。
「Through The Night」
疾走感溢れるトラックにストリングスや女性コーラスが加わったドラマチックなハウス調のナンバー。1組の男女の走り出した恋心を実に上手く表現しています。S.O.S.のレパートリーでは結構珍しいタイプの楽曲な気がします。
「Butterfly」
登場人物のやるせない心情が伝わる切ないリリックながらも、聴き心地はすこぶる良い浮遊感のあるスロー。TAKEのヴォーカルが優しくサウンドに溶け込んでいきます。そのまま眠ってしまいたくなりますね。
「もうひとつの結末」
EXILEのレコード大賞受賞曲「Ti Amo」を彷彿とさせるラテン系のR&B歌謡。
優しくも情熱的な性は、痛み無しの結末を許しはしないんですね...
にしてもこういう世界観のリリックとラテン系サウンドはほんと相性良いですよね。
「if...and if」
松尾氏が手掛けた主人公の大きな愛を感じるリリック、S.O.S.のメンバー3人による神聖とも言えるコーラスが聴き応え抜群の一曲。同じくアルバム終盤に待ち構える強力なシングル曲「抱きしめて」「My Gift to You」に劣らない力強いラブソング。
いかがでしたでしょうか?
今回は以上になります。
S.O.S.と松尾氏による名曲の数々...結構知ってる曲もあったのではないでしょうか?
特に「Save Our Souls」「Singles 2002~1997」辺りは非常に人気があるので、未聴の方は是非アルバムを通して聴いてみることをお勧めします。
そしてS.O.S.特集も結構長くなってきましたので、一旦次回は別の記事にしようかと考えておりました。
まだキャリアの半分もいってないですからね...笑
もちろんS.O.S.の続きはいずれまた執筆します。
最後までご覧いただきありがとうございます。
ではまた次回 !
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