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数日前から気温がぐっと下がり、もはや寒いと言わんばかりに涼しい季節がやってきましたね。
そんな今日この頃から遡ること約半月。
依然として厳しい暑さが猛威を振るっていた8月29日、ついに「RSD(RECORD STORE DAY)」が開催されました。
レコード好きの間では知れたイベントかもしれませんが、このブログの読者さんの中には、普段あまり音楽に興味がない筆者の友人もいるので、一応解説すると...
RSDとはレコード・ストア・デイの略で、2008年から現在に至るまで毎年4月の第3土曜日に世界同時開催されるレコードや音楽の楽しさを共有するイベント。アメリカをはじめ世界23カ国以上の数千を超えるレコードショップが参加するというかなり大規模なものになっています。
そしてこのイベントの目玉とも言えるのが、RSD限定盤レコード。
様々なアーティストがこのRSDでしか入手できないレアなレコードやグッズをリリースするので、イベント当日はそれを求めてレコードショップに駆け寄るという音楽ファンにはたまらないイベントと言えるでしょう。
また、レコードショップに足を運ぶのが目的のイベントなので、事前にレコードの予約や取り置きはできないんですよね。それがまたいいんですけどね !
しかし、今年はもともと4月18日(土)に開催する予定でしたが、新型コロナウイルスの影響により延期。主催者の方々による度重なる協議の結果2020年のRSDは8月29日(土)、9月26日(土)、10月24日(土)の3回に分けて「RSD Drops 2020」という名で開催することになりました。
Drops=ドロップする(レコードを店頭に置いていく)
本来ものすごい混雑で三密が避けられないであろうイベントですが、本来リリースするはずだったレコードを上記の開催日3回に分けて、小出しにレコードショップにドロップすることでソーシャルディスタンスを確保しながらレコード探しができるということに。
筆者は8月のRSDには残念ながら行けませんでしたが...
そして今回のRSDで筆者が気になった作品が...
cro-magnon Feat.ROY AYERS 「Midnight Magic」7インチ盤
大竹重寿(ds)、コスガツヨシ(g)、金子巧(key)からなる3ピースインストバンド「cro-magnon(クロマニョン)」
2011年に一度解散するも再び再結成。日本のみならず東南アジア、ヨーロッパ圏でも人気を博す実力派集団ですね。
そんな彼らの4thアルバム「4U」に収録されていたのがこの曲。
超大物ジャズミュージシャンROY AYERS(ロイ・エアーズ)をゲストに迎え入れた名曲。
10年以上前の作品になりますが、一切色褪せないどころか、近年のオルタナティブ、シティポップによりさらにその輝きを増している一曲ですね。
このタイミングでの7インチアナログ盤リリース...実に嬉しいですね...
とまあこの辺でRSDの話は終わりにして、本題に入りますと...
上記の「cro-magnon」のメンバー3人は全員、「cro-magnon」として活動する以前は「Loop Junktion(ループ・ジャンクション)」というHIP HOPバンドとして活動していました。
個人的にすごく好きで聴いていたバンドなので、今回はその「Loop Junktion」の作品を取り上げていこうと思います。
現在「Loop Junktion」は活動休止状態であり、これまでにリリースされた作品もあまり多くはないので、割と軽めの記事になるかな~なんて思っておりましたが、結局長くなりそうです...笑
最後までご覧いただければ幸いです。
Loop Junktion 「five sketches of city life」(2001)
「Loop Junktion」は先ほど紹介した「cro-magnon」のメンバー3人、大竹重寿(Shige)、コスガツヨシ(TSUYOSHI)、金子巧(TAKUMI)に加え、ベースのJungo、ラッパーの山仁(やまじん)からなる5人組HIP HOPバンド。
ラッパー山仁以外の4人は全員、米ボストンのバークリー音楽院出身という経歴を持つ。
キーワードはCDジャケットにも記載されている通り「real hip hop jazz groove」
バークーリー音楽院でジャズを学んだ4人の巧な生演奏による本格的ジャズサウンドと天才ラッパー山仁の奇跡的な邂逅。
生音を重視した最高に心地いいハイクオリティサウンドの上で、かなり独特なフロウを操る山仁のラップはほんとクセになります。
HIP HOPといえば打ち込みやサンプリングが主流ですが、生音をベースにこれだけの作品を今から約20年前の時点で提示しているのだから驚きです。今聴いても一切色褪せません。
こちらは1stミニアルバム。全5曲とかなりコンパクトな内容ですが、内容は濃厚そのもので、ミニアルバムと思えないくらいの満足感があります。
全曲好きですがお気に入りは、メンバーと同じくバークリー音楽院出身であり、jazztronikのメインボーカルでもある有坂美香(TSUYOSHIの奥さんでもある模様)をゲストに迎えた「PE.絵.LOW feat.Mika Arisaka」や後にリメイクされる「理論」あたり。
まるで畳み掛けるような山仁のライムに圧倒される「ONE TEMPER」もいいですね。
Loop Junktion 「Ties」(2002)
メンバーの地元である東京町田を拠点に活動する中で知名度は徐々に上昇。コアな音楽ファンの間で高い評価を得る中、満を持してリリースされた1stフルアルバムがこちら。
「cowper」や「Running Wild」など前作にはなかった思わず踊りたくなるような強力なアップテンポナンバーが最高にカッコいい !
さらには彼らの代名詞と言っていい「弔」など名曲は挙げればキリがありません。超絶名盤です。
前作と同様有坂美香が再びゲスト参加した新曲「Oasis~feat. Mika Arisaka」が収録されている他、「理論」が本アルバム使用になって再録されている点も見逃せないポイント。
山仁のリリックも非常に興味深く、コミカルながらも何気にシリアスでもあるのでフレーズによっては時折深く内省させられるような気がします。
全編にわたって心地いいサウンドが鳴り響くので、一時期睡眠用のBGMにしていたほどでした 笑
そして意外にもPVが思いの他存在していて、現在でもYoutubeでけっこう視聴できるという...
Loop Junktion 「Turkey」(2003)
こちらは前作「Ties」から一年、極めて重厚な内容にもかかわらず短いスパンでリリースされた2ndアルバム。
彼らを象徴するジャズ要素はしっかり残しながらも、前作までと比較してソウルやファンク、ダンスミュージックなどをより大胆に取り入れている印象。それでも作品を通してしっかり一つにまとまっているのはやはり生音を生かしたサウンドと山仁という唯一無二のラッパーの存在。
冒頭の「Watchin'」における鬼気迫る展開から一気に引き込まれますが、続く「イカンガー」では知らず知らずの内に幻想的な空気感に包まれていて、この落差がたまらないですね。
フロアライクな「舞Life」で高揚感を味わった後、中盤は前作までの彼らを思わせる鉄板とも言えるジャズナンバーが映える。
青木里枝(Vo.)、大倉健(g)からなるユニット「flex life(フレックス・ライフ)」からボーカルの青木をゲストに迎えたディスコ調の「Sink or Swim」もお気に入り。
ラストの「History」は前作収録の「弔」に続く「哀愁の詩」第二弾といった感じで、アルバムの最後を寂しげに、そしてノスタルジックに締めくくります。
ここまでは彼ら名義のアルバム作品ですが以下はコラボレーション楽曲や派生作品になります。
ご興味ある方は是非 !
LITTLE 「サバーバリアン(feat. Loop Junktion)」(2004)
LITTLE(リトル)はKREVA(クレバ)を擁する言わずと知れたヒップホップグループ「KICK THE CAN CREW(キック・ザ・カン・クルー)」のMC。
本曲は2004年、KICK THE CAN CREWが一時活動休止して割とすぐにリリースされたLITTLEのソロ作品「I SING, I SAY」のカップリングに収録されたナンバー。
いつになく正統派っぽい日本語ラップで見せる山仁が珍しい感じがします。
Loop Junktion & Keyco, Q-ILL 「NATURAL VIBES」(2003)
こちらは生音を重視したHIP HOP系作品を収録したコンピレーションアルバム。
その一曲目に収録されたのがこの曲。アルバムタイトルと同名曲で、女性シンガーKeyco(キイコ)、実力派ラッパーQ-ILL(キューイル)とのコラボレーション楽曲。
Keycoのヴォーカル映えるR&Bテイストなグルーブが非常に心地いい名曲。
この曲、何気にPVが存在している他、Keycoのコラボレーションベストにも収録されています。
山仁「Don't Worry(feat. Loop Junktion)」(2008)
2004に一時解散したLoop Junktion。先述したようにShigeらはcro-magnonで活動、山仁はソロ活動を精力的に行っていきます。
本曲はそんな彼らが再びタッグを組み、再結成した2008年に山仁のソロアルバム「クッキーマン」に山仁 feat. Loop Junktion名義で収録されたナンバー。
Loop Junktionらしいサウンドと再結成を思わせるようなリリックがいいですね。
flex life「あり*なし(with Loony Tune from Loop Junktion)」(2004)
先述した2ndアルバム「Turkey」収録の「Sink or Swim」でゲスト参加した青木里枝が所属するユニットflex life。
本曲はそんな彼らが2000年に発表したシングル「あり*なし」にLoop JunktionのMC山仁以外のメンバーで構成される「Loony Tune(ルーニー・チューン)」が参加したナンバー。
そのため「Loony Tune」はcro-magnonの前身と言えるかもしれません。
相変わらず女性ヴォーカルとの相性も抜群ですね。
CHEMISTRY「You Go Your Way(Loony Tune Remix)」(2003)
ちょっと意外なコラボかもしれませんが、こちらも上記Loony TuneによるRemix作品。
初期CHEMISTRY三部作のラストを飾る名曲「You Go Your Way」における川畑・堂珍の化学反応をLoop Junktionの音で聴けるのは両者のファンである私からすればめちゃくちゃ感動モノ。
CHEMISTRYのRemix作品の中で最も好きな曲です。
今回は以上になります。
Loop Junktionの作品は現在youtubeでかなり視聴できるので気になったら是非調べてみてはいかがでしょうか?
極上のサウンドと山仁が紡ぎだす言葉の力に脱帽です。
最後に幾つか動画を紹介して終わります!
ではまた次回 !
ちなみに今回のブログタイトルはミニアルバム「five sketches of city life」収録の「理論」のアウトロで聴ける山仁のセリフです 笑
cowper (2002)
弔 (2002)
Sink or Swim (2003)
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