11.ミックスボイスの認識

ご覧いただきありがとうございます。

今回はボイトレに関する記事になります。

少し前に「地声」をテーマに記事を執筆させていただきました。


地声をテーマにした回では...


・地声は声帯の機能を100%使えた上での話し声(声質や高さはそれぞれ)

・多くの人は普段何気なく出している声を地声と勝手に認識しているだけ

・間違った発声は体感としては楽だが、声帯や喉には負担がかかる

・地声は間違った発声を続けることで変な癖がつき、徐々に退化していく

・正しい「地声」のみが「ミックスボイス」の原型になる。


おおよそ上記のような内容をお話ししたかと思います。


今回はこれらの内容を踏まえて、「ミックスボイス」についてお話ししていきます。

近年ではボイトレを語る上で外せない内容かと思います。

最後までご覧いただければ幸いです。



「ミックスボイス」に関しては至る所で、様々な表現がされています。


・地声と裏声を混ぜた声

・地声と裏声を自由に行き来できる声

・高音を地声のような強さや太さで出せる声

・楽に歌える声


など...


だいたいこのようなニュアンスかと思います。


そしてこれらの特徴は間違いではありません。

実際歌手の人たちは歌っている途中で声が裏返ったりしませんし、高音だからと言って声がかすれたり、弱くなったりしませんよね。

そのうえ2~3時間にもわたるLIVEの場面でも終始バテることなく歌いきれます。


素晴らしいですよね...

そして多くの歌手がこの「ミックスボイス」を使用しています。


この「ミックスボイス」という単語は近年ではすっかり広まり、歌唱力アップの必須条件として多くのボイトレスクールや教材で当たり前のように目にすることが増えました。

youtubeにも「ミックスボイス」のやり方をレクチャーした動画が数え切れないほどアップされており、いつでも気軽に視聴することができます。


しかし、これだけ多くのトレーナーが、教材が、ミックスボイスに対して様々なアプローチをしているにもかかわらずその実態は未だ不明瞭と言えます。


というのも...


・トレーナーや教材によって「ミックスボイス」に関する主張が違いすぎる

普段の話し声からミックスボイスにするべきという主張もあれば、ミックスボイスはあくまで「歌唱方法」にすぎないから、話し声とは別という主張もある。

さらには「ミックスボイスなんて存在しない!歌を基礎から練習すればうまくなる!」という主張もあります。


・そもそも話し声や喚声点(地声と裏声が切り替わるポイント)が人それぞれである以上、「ミックスボイス」の体感も人それぞれ

普段から高いキーで話す人と、低いキーで話す人では呼気の量や腹圧の具合がそもそも異なるため、同じ高さの声を出した際に「話し声」と比較して「いつも通り」と感じる人もいれば、「ちょっと息多めだなあ」と感じる人もいる


・「自身の体感」と「実際に発せられた声という音源」でしか、「ミックスボイス」は確認が難しい

70点以上は合格とか、3位以内は表彰台といった具合に明確な判断基準がない以上、自身が「いかにスムーズに発声できているかという体感」と「録音した声に対する自身やトレーナーの満足度」を大事にするしかありません。


上記の理由から「ミックスボイス」に関する悩みは後を絶たず、練習を重ねていても実現は簡単ではないことは明白です。(稀に何もせずとも歌が上手い人がいますが、本当にすごいと思います...)



では、「ミックスボイス」とは結局何なのか、どうすればできるようになるのか...



私なりの考えを主張していきます。


先ほどお話しした通り、私も好き勝手にミックスボイスについて主張するトレーナーの内の一人に過ぎませんが、一つの主張として理解して頂ければ幸いです。





まずはじめに主張しておきたいのは...




どんなに歌が下手でも、高いキーが出なくても...

「声さえ出てれば、それはミックスボイスなんだよ!」

ということ。


「え!おかしいじゃん!」

「ミックスボイスは地声と裏声を混ぜるんでしょ?」

「前の記事でそもそも地声が出来てない人はミックスは難しいって言ってたじゃん!」




ということを言われてもしょうがないですよね...

いきなりとんでもないことを言うもんですから...


しかし、「ミックスボイス」に必要な要素を考えると、最終的にこのように考えてもおかしくはありません。

そしてさらに付け加えておきたいのが...



全員が「ミックスボイス」を出来ると仮定して...

「そのクオリティに天と地ほどの差がある」



ということ。





原点に立ち返って考えると、「声」はそもそも「声帯」という二枚の粘膜状のヒダが互いに振動し、ぶつかり合うことで生まれます。

そして、声帯がぶつかり合い「声」になるためには「息」が必要不可欠です。

例えば


「息」を一瞬止めてみてください。


「声」出ませんよね?


映画やドラマのワンシーンで怖い状況に遭遇したヒロインは、悲鳴をあげた方がいいにもにもかかわらず、悲鳴をあげれない場合がありますよね。

その時ヒロインは「息」及び「呼吸」が止まってるから声を出せないんですね。

至極当たり前のことです。


上記のことから「声」を出すためには以下の二つの基本的な条件が必要になります。


① 二枚の声帯が振動し、ぶつかり合うこと=「声帯閉鎖」


② 「息」を流すこと



みなさんが普段声を出して会話したり、上手いとは言えなくても歌うことができるのは、この二つの条件が最低限クリアできているからです。


一般的に言われるミックスボイスはこの二つの条件をより洗練させていくことで実現します。


以下の例がわかりやすいかと思います。


日本の家屋でよくある引き違い窓をイメージしてください。

これに以下の設定を加えます。


・窓=声帯(横の動き、声帯閉鎖)

・カーテン=声帯(縦の動き、声帯伸張)

・外の風=息

・音=声


といった感じです。

これから挙げる4つのシチュエーションを比較してみましょう。



A 穏やかに風が吹く天気の良い日に窓を2~3センチほど開ける

この場合風は穏やかなのでカーテンは多少めくれ、少し風のヒューーという弱い音が聞こえます。

→これは地声を表します。

風(息)の量は少ないですが、窓(声帯)を閉め切ってはいない(適度に閉鎖している)ので、風はしっかり流れます。



B 強風が吹く嵐の日に窓を2~3センチほど開ける

この場合風が勢いよく隙間から流れ込むのでビュオーーーーと音がなり、カーテンが大きくめくれ上がります。

→これはミックスボイスを表します。

風(息)の量が増えながらも、窓(声帯)の閉鎖具合をAと同様の幅で保っている感じです。

ビュオーという音はまさしく強く高い高音のミックスボイスを想起させます。

カーテンがめくれ上がるのは声帯が縦に伸張していることを表します。

ギターの弦が伸びてピーンと張った時に高い音が出るのと同じですね。



次のC、DはA、Bと違って間違った発声をした場合のシチュエーションになります。



C 強風が吹く嵐の日に窓を完全に閉める

→これは「喉閉め」を表します。

風は強く吹いているのに、窓(声帯)を完全に閉鎖しているので音はなりません。

高い声が出るわけないですよね...



D 強風が吹く嵐の日に窓を全開にする

→これは「ため息」を表します。

風は強く吹いていますが窓を全開にしてしまっている(閉鎖を保てない)ので、ビュオーーーーという強い音は鳴らず、ただ強風でカーテンが大きくめくれる感じになります。

呼気の方が声帯の閉鎖を上回ってる感じですね...


イメージできたでしょうか?




ここでポイントになるのは、カーテンがめくれる(声帯伸張する)のは、風が流れている時のみになります。

言い換えれば、「風(息)が声帯を伸張させている」と言えます。

これは上記のA、B、Dのシチュエーションですね。


そして、音がなる(声が出ている)シチュエーションはAとBになります。



そもそも声が出ていないCと、輪郭のない「息」しか感じられないDは除外されます。


Aは「声」を出す条件①「声帯閉鎖」②「息を流すこと」をクリアしていますが、②の勢いが足りないので高音を出すことができません。


しかしBはAの①「声帯閉鎖」を保ちつつ、②「息を流すこと」の勢いをアップしているので強い高音を出すことができます。

「B」のシチュエーションのみが「ミックスボイス」の条件を満たしていると言えるでしょう。



もし仮に「ミックスボイス」を「地声と裏声を混ぜた声」とするなら



地声=「声帯閉鎖」

裏声=「息」による声帯伸張



となり、この二つの要素を同時に発揮することがミックスボイスになります。




先に記述した「声」を出す条件とあまり変わらないですよね...

ミックスボイスが出来ているかというより、出来てる前提でそのクオリティに差があるという表現をしたのは上記の理由からです。


ではなぜ、わざわざこのような表現をしたのか...

その理由に関してはまた後日...

※ぶっちゃけミックスボイスという言葉がどういう表現のされ方をしてもいいのですが、表現の仕方によっては大きな誤解を生み、練習が空回りしてしまう可能性があるので、あえて今回は私なりのミックスボイスを説明させていただきました。



一つの主張として頭の隅に置いて頂ければと思います。

最後までご覧いただきありがとうございます。


ではまた次回!



























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